ビジネスコンサルタントとは?仕事内容やキャリアプラン・求められるスキルを解説
更新日:12月24日
ビジネスコンサルタントとは企業や組織のビジネス課題を解決に導く専門家です。この記事ではビジネスコンサルタントの年収や職種、身につけるべきスキルを解説しています。
「ビジネスコンサルタントになりたいけれど、どんな仕事内容だろう?」「経験やスキルは必要?」と疑問を抱く方も多いでしょう。
ビジネスコンサルタントとは、企業や組織のビジネス課題を専門的な視点から解決へと導く専門家のことです。
この記事ではビジネスコンサルタントの仕事内容や平均年収、求められるスキルなどをわかりやすく解説していきます。
ビジネスコンサルタントとは
ビジネスコンサルタントとは企業や組織のビジネス課題を解決し、効率的で効果的な成長を実現するための専門家です。企業の経営戦略や業務効率化などのコンサルティングを行う仕事の総称を「ビジネスコンサルタント」と呼ぶため、専門性を活かした様々な職種や業務が存在します。
例えば経営戦略に特化している「戦略コンサルタント」、業務効率化に特化している「業務コンサルタント」などがあり「ビジネスコンサルタント業界の種類」で詳しく解説しています。
ビジネスコンサルタントの人材需要
コンサルティングの市場規模は2017年から右肩上がりで、2022年時点で約2倍にまで成長したというデータがあります。
日本のコンサルティング市場規模(推定)
引用:PRTIMES(コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社)
2019年から少し落ち込んで一気に成長したのは、コロナ禍によるリモートワークの導入など企業の経営や業務の見直しが必須になったことが考えられるでしょう。
近年はIT技術の進化で、業務プロセスのデジタルトランスフォーメーション(DX)も進んでおり、導入にあたってコンサルタントを活用する企業も増えています。
このような背景からコンサルティング市場は今後も拡大傾向にあり、人材需要も高い業界だといえるでしょう。
ビジネスコンサルタントの平均年収は700万円
企業の口コミサイト転職会議によると、ビジネスコンサルタントの全世代の平均年収は約700万円です。(2024年5月現在)
また、世代別での年収レンジを見ると、20代〜40代で約500万〜950万円でした。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、令和4年(2022年)における20〜24歳の平均年収は273万円のため、ビジネスコンサルタントの場合20代前半の時点で約2倍の年収が見込めます。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20代前半 | 496万円 |
20代後半 | 642万円 |
30代 | 841万円 |
40代以上 | 947万円 |
データ引用:転職会議
ビジネスコンサルタントの平均年収については以下の記事でも詳細まとめております。
ビジネスコンサルタントの種類
ビジネスコンサルタントは、クライアントの多様なニーズに応えるために、専門性を活かした様々な職種や業務が存在します。
今回は以下6つの業務について詳しく解説します。
- ITコンサルタント
- 戦略コンサルタント
- 業務コンサルタント
- 人事コンサルタント
- 財務コンサルタント
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、ITを活用した戦略を策定し、企業の課題を解決に導く専門家です。
例えば紙ベースで書類やデータなどの保管を行っている場合、情報の管理や共有が煩雑になり、セキュリティ対策も不十分な状態といえます。
ITコンサルタントは、そのような企業に向けてITシステムの導入支援やセキュリティ対策の提案を行い、業務プロセスの改善やコスト低減へと導きます。
近年、企業のDX化が重視されていることから、ITコンサルタントの需要は今後も高まっていくといえるでしょう。
戦略コンサルタント
戦略コンサルタントとは、企業や組織が長期的な成長と競争力を維持できるよう、専門的な視点から戦略を立て、実現をサポートする仕事です。
例えば新商品を開発したい企業に対して市場ニーズや競合の分析をし、最適な商品コンセプトや販売戦略などを提案します。
企業の収益性の向上や、市場シェアの拡大など、具体的なビジネス成果をクライアントにもたらすことが期待されています。
業務コンサルタント
業務コンサルタントは、企業の業務プロセス改善や効率化の提案を専門にしています。
習慣化している業務プロセスから無駄を見つけることが難しいケースも多く、業務コンサルタントは第三者の目線で業務プロセスの分析や改善提案を行います。
様々な手法やツールを駆使し、業務の実行性を高めることで組織全体のパフォーマンスを向上させます。
人事コンサルタント
人事コンサルタントは、企業の人材マネジメントの専門家として、組織の人材戦略を策定・支援し、組織のパフォーマンス向上を支援します。
具体的には、離職率の低下、社員エンゲージメントの向上、最適な人材配置、リーダーシップ開発による組織の競争力強化などの成果が期待されます。
人事コンサルタントの介入によって、企業は人材の最大価値を引き出し、組織全体の生産性と社員の満足度向上を目指すことができます。
財務コンサルタント
財務コンサルタントは、企業や個人の財務戦略を最適化する専門家です。例えば資金調達、投資戦略、リスク管理、財務計画の策定などをサポートします。
また、M&A(企業の合併・買収)を検討している企業に対して、合併・買収先や市場の調査も行います。財務に関する業務がメインなので、財務会計の知識が必要です。
ビジネスコンサルタントの業務に役立つ資格
ビジネスコンサルタントになるために、特定の資格は必要ありません。しかしクライアントに対して「一定の知識やスキルを持っている」とアピールできたり、実際の業務に役立つ資格もあります。
例えば以下の2つです。
- MBA(経営学修士号)
- 中小企業診断士
それぞれ詳しく解説します。
MBA(経営学修士号)
MBA(Master of Business Administration)は、経営学の総合的な知識やスキルを習得したことを証明できる学位のことです。厳密には資格ではありませんが、ビジネスコンサルティングを行ううえで必要なマーケティング論や財務管理、組織行動論といった知識があることを証明できます。
日本国内でMBAを取得するには、MBAのカリキュラムを扱っている大学院に通常2年通わなければなりません。社会人の方は夜間や週末のみで通学できたり、オンラインで学習できたりする大学院を選ぶことで仕事と両立しながら取得できるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は中小企業の経営課題を診断し、解決策の提案を行う知識を有していると証明される国家資格です。ビジネスや経営について学ぶ点においてMBAと似ていますが、中小企業診断士は中小企業の経営全般に特化した内容を学びます。
大企業をベースに学ぶMBAに比べると劣っているように見えますが、日本の全企業のうち99.7%を中小企業が占めているため、中小企業診断士も十分に役立つ資格です。コンサルティングの知識やスキルを身につけて自信を持ちたい方は、中小企業診断士やMBAを取得するとよいでしょう。
ビジネスコンサルタントに求められるスキル
ビジネスコンサルタントとして活躍するために必要なスキルを解説します。
データ分析スキル
データ分析スキルとは、Excel等の統計解析ツールを使用して売上データなどを分析するスキルのことです。需要予測やビジネス機会の特定が可能となり、分析結果から戦略計画を立てることができます。
戦略的思考力
戦略的思考力とは、問題を多角的に分析し、長期的な視点で最も効果的な戦略を構築する能力です。戦略的思考力があれば、競合分析や市場トレンドの変化をいち早く察知し、適切なビジネス戦略を提案することができます。
リーダーシップとプロジェクト管理スキル
ビジネスコンサルタントの業務はチームで行うことが多いため、タスク管理やスケジュール管理を効果的に指導するリーダーシップが求められます。
このスキルを持つことで、大規模な組織改革プロジェクトや、新製品の導入プロジェクトをリードすることができます。
ビジネスコンサルタントに向いている人
ビジネスコンサルタントはデータを分析したり、戦略を立てる業務がメインなので「向いている人」「向いていない人」に分かれやすい仕事といえます。
そこでビジネスコンサルタントに向いている人の特徴を5つ紹介しましょう。
- 分析力が高い人
- コミュニケーション力に優れている人
- 学習意欲が高い人
- タスク管理ができる
- 柔軟性と適応力がある人
それぞれ詳しく解説します。
分析力が高い人
クライアントの経営課題を解決するために、複雑なデータやビジネス状況を迅速に理解する必要があります。そのためには優れた分析力が求められるため、分析力が高い人はビジネスコンサルタントに向いているといえるでしょう。
コミュニケーション力に優れている人
コンサルティングを行ううえで、クライアントやチームメンバーとの円滑な意思疎通ができることが必要不可欠です。また、クライアントのニーズを引き出し、最適な提案を行うためにもコミュニケーション能力が優れている人が市場から求められます。
学習意欲が高い人
学習意欲が高い人は、ビジネスコンサルタントの仕事が楽しめるタイプです。
ビジネスの世界は常に変化しており、特にITに関する技術や手法はすぐに新しいものが出てきます。ビジネス業界の変化や最新技術の情報を素早くキャッチすることで、クライアントに対して適切な改善策が提供できます。
タスク管理ができる
コンサルタントは複数のプロジェクトに同時に携わるケースもあるため、タスク管理能力が重要です。
優先度の高い業務を把握しておかなければ納期に間に合わず、最悪の場合クライアントからの信頼を失くしてしまいます。
タスク管理がうまく出来れば、限られた時間内で効率的に複数のタスクをこなすことができるので、給与アップにも繋がりやすいでしょう。
柔軟性と適応力がある人
ビジネスコンサルタントとして、様々なプロジェクトに関わるため、クライアント課題に応じてアプローチを変えられる柔軟性が重要です。
また、突発的な状況や計画の変更、新しい業界や技術に速やかに適応する必要があるので、適応力が高い人はビジネスコンサルタントに向いているでしょう。
ビジネスコンサルタントになるためには?
ビジネスコンサルタントとして活躍するためには、「コンサルティングファームで社員として働く」または「フリーランスとして仕事を請け負う」方法があります。
それぞれ詳しく紹介しましょう。
コンサルティングファームで社員として働く
ビジネスコンサルタントの一般的な働き方は、コンサルティング会社(コンサルティングファーム)に入社して働く方法です。
マッキンゼー、ボストン・コンサルティング・グループ、アクセンチュアなどの大手コンサルティング会社に就職することで、さまざまな業界のプロジェクトに携わることができます。
コンサルティング経験者の方が、採用で有利ではありますが、コンサルティング業界は「ポテンシャル採用」も行っているため、未経験でもチャンスは十分にあります。
例えば論理的思考力やコミュニケーション能力に優れている方は「コンサル適性がある」と判断され、未経験でも採用されるケースが多いです。
フリーランスとして仕事を請け負う
全くの未経験では難しいですが、ビジネスコンサルタントに関連する業務経験やコンサルティング企業での経験があれば、フリーコンサルタントとして活躍ができます。
フリーランスの魅力は、自由度の高さと会社員より収入を増やせる可能性があるということです。
「【2024最新】フリーランス・副業の平均年収ランキング(職種別)」によると、コンサルティングの平均年収は1,033万円です。
【2024年最新】フリーランス・副業の平均年収が高い職種ランキング
提供元:SOKUDAN Magazine
コンサルティングファームでの平均年収が約700万円なので、収入アップを目指すならフリーランスのほうが近道と言えます。
フルリモートでの案件もあるので、実際にフリーランス向けの案件を見てみましょう。
稼げるビジネスコンサルタントの具体的なキャリアプラン
ビジネスコンサルタントとして実績やスキルを積んだあとは、自分の強みや興味に合ったキャリアプランを立てましょう。
例えば以下のキャリアプランが考えられます。
- コンサルティングファームでキャリアを積む
- 他業界に転職する
- フリーランスとして独立または会社を設立する
コンサルティングファームでキャリアを積む
安定したキャリアプランを希望する場合、コンサルティングファームの中で昇進を目指す道があります。マネージャークラスになれば年収が一気に上がり、平均年収1,000万円を超えるケースがほとんどです。
コンサルティング業界は、他の業界と比較すると昇進のスピードが非常に早いといわれています。新卒でコンサルティングファームに入った場合、20代中盤でマネージャーを目指すことも可能です。
企業の中でキャリアアップを目指す場合、コンサルティング能力だけでなくリーダーシップや組織マネジメントのスキルも必要です。
他業界に転職する
ビジネスコンサルタントとして培った論理的思考力やノウハウは、全く違う業界でも活かすことができます。
例えば事業会社の経営企画や事業開発に携われば、事業戦略の立案だけでなく実行まで行えるため、やりがいも高まるでしょう。
独立またはフリーランスになる
ビジネスコンサルタントとして実績やスキルを積み上げたあとは、独立またはフリーランスになる方法もあります。会社員とは違い、自分の経験や強みに特化したコンサルティングを行える点が魅力です。
例えばITコンサルタントの経験を活かし、DX支援に特化したフリーコンサルタントとし活動することも可能です。
ただし多くのフリーランスが「収入が安定しない」ということに悩んでいるのも事実です。安定した収入を得られるよう、案件数が豊富なエージェントを利用しましょう。
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ビジネスコンサルタントに関するよくある質問
ビジネスコンサルタントの仕事は激務?
プロジェクトの内容や規模によって、労働時間や仕事のペースが大きく変わることがあります。特にプロジェクトのデッドラインが迫っている時や、クライアント企業への訪問が重なる時などは、長時間労働になりやすいです。効率的なスケジューリングとタスク管理を行うようにしましょう。
ビジネスコンサルタントに求められる人材は?
次のような素質を持っている人が、ビジネスコンサルタントに求められます。
- 好奇心がある
- 質問力がある
- プレッシャーに耐えられる
- 問題に対して論理的に考えられる
- アドバイスを素直に受け入れられる
ビジネスコンサルタントとして成功したいなら、上記のポイントを意識して磨くようにしましょう。
まとめ
ビジネスコンサルタントとは企業や組織のビジネス課題を解決し、効率的で効果的な成長を実現するための専門家です。ITコンサルタントや戦略コンサルタントなど、それぞれ分野に特化したコンサルティングファームが存在します。
平均年収は700万円と一般的な年収よりも高く、市場規模も拡大しているので人材需要もまだまだ高いといえるでしょう。
自分が重視したいポイントに合致した企業や案件を見つけ、ビジネスコンサルタントとして活躍しましょう。