ITコンサルタントとは? 業務内容や必要なスキル・向いている人を詳しく紹介!
更新日:12月21日
ITコンサルタントとは、企業のIT戦略の立案やシステムの導入・運用などをサポートする専門家です。
デジタル化が進む現代社会において、ITの効果的な活用は企業経営における重要な鍵になっています。需要が増えている昨今では、フリーランスとして活動するITコンサルタントも少なくありません。
そこで今回は、ITコンサルタントの業務内容や必要なスキル、適性などについて詳しく解説します。
ITコンサルタントの将来性や取得しておきたい資格なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ITコンサルタントとは?
ITコンサルタントは、ITを活用して企業の課題を解決し、経営をサポートする仕事です。IT投資計画の策定やツールの導入・運用の支援も行います。
DX推進に伴い、ITの活用が企業の課題を解決する有効策となるケースは少なくありません。そのため、近年ではITコンサルタントの需要が増加している傾向にあります。
ITコンサルタントと似た種類の職種も多いので、違いを確認しておきましょう。
ITコンサルタントとシステムエンジニアの違い
システムエンジニアは、システムの設計や開発、テストなどの技術的な業務を担当する職種です。
ITコンサルタントは戦略的な観点から、システムエンジニアは技術的な観点からIT業務を担当すると考えればわかりやすいでしょう。
たとえば、企業が新しい販売管理システムの導入を検討している場合、ITコンサルタントは企業の販売プロセスや課題を分析して、最適なシステム導入計画や目標達成のサポートを行います。
一方、システムエンジニアは技術力を活かしてシステムの設計や開発、運用を担当します。
ITコンサルタントとSIerの違い
SIer(システムインテグレーター)は、ITシステムやソリューションを構築・管理する事業者です。
業務の目的は、クライアントの要望に沿ったシステムの開発です。報酬の対象は「システムやアプリケーションそのもの」です。場合によっては、システム導入後の運用保守も行います。
一方、ITコンサルタントは、ITを活用して企業の経営課題を解決に導きます。報酬の対象は「課題の解決やIT戦略の提案」です。
ITコンサルタントと業務コンサルタントの違い
業務コンサルタントが改善するのは「業務プロセス」ですが、ITコンサルタントが解決するのは「IT戦略に特化した課題」です。
業務コンサルタントは、企業の業務フローや組織、プロセスの改革を中心に提言します。ITコンサルタントの業務はITシステム自体の企画や導入がメインです。
ただし、業務改革とITは密接に関係するケースも多いため、業務コンサルタントとの連携が重要になることもあります。
ITコンサルタントの種類別業務内容
ITコンサルタントの種類によって業務内容は大きく異なります。
- 戦略コンサルティング
- PMO
- SAPコンサルティング
それぞれ詳しく見ていきましょう。
戦略コンサルティング
戦略コンサルティングは、経営戦略や事業戦略の立案に関するコンサルティング業務です。
企業の課題と目標を把握し、ITを効果的に活用して企業の競争力を高めます。また、ITを利用した戦略的アドバイスも行います。
DXの実現に向けた戦略策定に携わるため、クライアントの最高情報責任者とコミュニケーションをとるケースも少なくありません。
PMO
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは、プロジェクトの進捗管理や課題対応、リソース調整などを行う部署や組織です。
大規模なシステム導入プロジェクトでは、PMOが設置されることがあります。プロジェクトを適切に統制して目標どおりに完了させる重要な任務を担います。
自社内でPMOを設置できない場合は、外部に委託するケースも増えています。
SAPコンサルティング
SAPは、企業向けの基幹システム(ERPシステム)で知られるソフトウェアです。
SAPコンサルティングは、SAPの導入や運用、保守、アップグレードなどに関するコンサルティング業務を行います。稼働後のアフターフォローも大切な仕事です。
すでに導入済みの企業に対しては、システムの改修や最適化に向けたコンサルティングを提供します。
ITコンサルタントの年収はどのくらい?
ITコンサルタントは、契約形態によって年収が異なります。
雇用形態 | 年収 | 備考 |
---|---|---|
正社員 | 約650万円 | 平均年収 |
派遣社員 | 約370万円 | 時給1,788円 × 8時間× 5日× 52週 |
フリーランス | 約720万円~1,800万円 | 案件によって幅がある |
正社員+副業 | 約890万円 | 本業650万円+副業(週2日で月20万円) |
業務範囲が限られる正社員の平均年収は低めです。
また、フリーランスはスキルや実績、営業力によって年収に幅があります。正社員であっても、週2日程度の副業で年収を上げることは可能です。
出典:ITコンサルタントの仕事の年収・時給・給料|求人ボックス
ITコンサルタントの年収に詳しい情報は、以下の記事もご参考ください。
ITコンサルタントに必要なスキル
ITコンサルタントには高度な専門性だけではなく、コミュニケーションスキルや論理的思考力も求められます。経営と事業に関する知見も必要です。
高度な専門性
実効性のあるITソリューションを提案するためには、IT技術やビジネスに関する高度な専門知識が必要です。
最新のテクノロジーと業界動向に関する深い理解も求められます。金融業や製造業など、さまざまな業界でITがどのように活用されているかも把握しておく必要があります。
課題を把握するためのコミュニケーションスキル
クライアント企業の課題を正しく把握できるコミュニケーションスキルも重要です。円滑なコミュニケーションが図れず誤解が生じると、適切なソリューションの提案ができません。
相手の言葉を傾聴し、本質的な課題を引き出すことも大切です。専門家としての考えをわかりやすく説明し、提案の意図を正しく伝える能力も求められます。
最適な解決策を立案できる論理的思考力
課題の解決策と最適なITソリューションの提案には、論理的思考力が欠かせません。
ITコンサルタントは、さまざまな情報や要件を整理・分析した上で本質的な問題を特定し、最適な手段を見つけ出す必要があります。また、業務プロセスの見直しや変革を視野に入れた総合的な提案力も問われます。
既存の概念から脱却した発想も不可欠です。システムの導入だけがITコンサルタントの仕事ではありません。これまでにない革新的な業務プロセスやITの活用方法を提案することも重要な仕事です。
経営と事業に関する知見
ITコンサルタントには、経営戦略やビジネスモデル、競合状況の理解なども含めた幅広い知見と洞察力が求められます。
企業経営の視点を持たなければ、IT導入による経営課題の解決やビジネス変革への貢献は実現しません。
企業の将来的なビジョンを見据えた提案ができるように、経営の知識は必ず習得しておきましょう。
プロジェクトをスムーズに進めるマネジメント力
プロジェクト全体を円滑に進めるマネジメント力も必要です。
IT関連のプロジェクトには、複雑で多くのリソースが関与します。そのため、プロジェクト全体を俯瞰して課題を早期に発見・対処できる能力は必須です。
クオリティやリスクなどの面においても厳しい管理が求められます。メンバーのモチベーション維持や方向性の明確な指示など、プロジェクトを調整する力も必要でしょう。
ITコンサルタントに求められる成果
ITコンサルタントに求められているのは、クライアント企業の経営課題解決に直結する成果です。
ITの活用によって課題を解決するだけではなく、経営改善や業務効率化への貢献も期待されています。
システムと戦略が素晴らしくても、クライアント企業の課題が解決しなければ意味がありません。そのため、企業の抜本的な業務改革や事業変革までも視野に入れた提案と解決策が求められています。
競合他社に勝る付加価値の高いITサービスやビジネスモデルを提案して、企業の競合優位性を高めるのも大切な役割です。
ITコンサルタントに向いている人
ITコンサルタントには、下記のようなタイプの人が向いています。
- 知的好奇心が強い人
- 粘り強い人
- 倫理観の高い人
- 協調性がある人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
知的好奇心が強い人
ITコンサルタントは常に最新の技術動向を把握しなければいけないため、知的好奇心の強い人が向いています。
知的好奇心が強ければ、新しい技術に対する興味が湧くようになります。また、物事の本質を追求して柔軟で斬新な解決策を見つけやすくなります。
粘り強い人
システムの構築や複雑な課題の解決には根気強さが必要です。そのため、粘り強くない人は、クライアント企業の期待に応えられない可能性があるでしょう。
新しい技術の習得にも相当の時間と労力を要します。粘り強い人は、挫折することなく地道に学習を続けられるでしょう。
倫理観の高い人
セキュリティと個人情報保護の観点から高い倫理観を持つ人が求められます。これらの情報を不正に扱うリスクは徹底的に回避しなければいけません。関係法令を遵守して情報漏えいのリスクを最小限に抑える高い倫理観は不可欠です。
営利を追求するあまり、倫理に反する提案をしてもいけません。顧客企業に対して公平かつ中立的な立場を保つ必要があります。特定のベンダーや製品に偏った提案をすることなく、顧客企業の利益を最優先にできる人に向いています。
協調性がある人
ITコンサルタントは、複数の部署や担当者と連携しながらプロジェクトを遂行する必要があります。そのため、円滑なコミュニケーションとチームワークを大切にできる協調性が欠かせません。
建設的な議論と協働を通じて最善の解決策を導き出せる人も、ITコンサルタントに向いているでしょう。自分の考えを丁寧に説明しつつ、他人の意見にも謙虚に耳を傾ける姿勢が重要です。
ITコンサルタントに向いていない人
ITコンサルタントに向いていないタイプの人も確認しておきましょう。
- 独学が苦手な人
- ネガティブ思考な人
- ストレス耐性が低い人
それぞれ詳しく解説します。
独学が苦手な人
独学が苦手な人は、ITコンサルタントとしての活躍が難しいでしょう。
ITの技術は日進月歩で進化を遂げており、ITコンサルタントは常に新しい知識を自ら能動的に学び続ける必要があります。資格取得に向けた勉強や、業務で必要な技術の習得も欠かせません。
自己学習への意欲が乏しければ、独学による知識の吸収はできないでしょう。ITコンサルタントには、長期的継続的な自己啓発に対する強い意欲が求められます。
ネガティブ思考な人
ITコンサルタントは、困難な状況でもポジティブな視点で解決策を見つけなければいけません。
課題解決までの工程がスムーズに進むとは限らず、行き詰まりを経験したり、試行錯誤を重ねたりするケースもあります。
そのような状況下でネガティブ思考に囚われてしまうような人は前に進めません。クライアントの満足度を高めるためにも、前向きな姿勢とポジティブな気持ちを維持することが大切です。
ストレス耐性が低い人
ITコンサルタントはタイトなスケジュールの中で顧客の要求に応える必要があるため、冷静に対応できるストレス耐性の高さが必要です。ストレスに強くない人は、業務に支障をきたす恐れがあるので注意しましょう。
ただし、ストレス耐性が低くても、ストレスを解消できるスキルがあれば問題ありません。ストレスマネジメントの方法を学んで適切に実践できれば、ストレス耐性の低さを補えます。
ITコンサルタントの将来・キャリアパス
ITコンサルタントの将来・キャリアパスはさまざまなため、希望や事情に応じたスタイルを選べます。
まずは基礎を築くことから始め、将来的なライフスタイルやキャリアの展望に合わせて目標を定めていくといいでしょう。
在籍している企業で昇進する
ITコンサルタントとして一定の経験と実績を積めば、在籍している企業で昇進のチャンスが待っています。プロジェクトマネージャーやアナリストなどの上位職に就くことも可能です。
昇進すれば年収もアップします。ただし、それなりの責任も伴うため、高いスキルとリーダーシップは求められるでしょう。
高収入を目指して転職する
高収入を目指して外資系コンサルティングファームへ転職するのも、選択肢のひとつです。外資系企業は比較的報酬が高く、年収1,000万円超えも夢ではありません。
求められるスキルレベルとプレッシャーは格段に高くなりますが、経験とスキルを積み重ねてチャレンジする価値はあるでしょう。
独立を検討する
フリーランスに転向して独立する人も少なくありません。フリーランスは、複数の案件をこなしながら自由な働き方を実現できるメリットがあります。
ただし、独立をするには精神的にも経済的にもある程度の準備が必要です。起業マインドと営業力、高い専門性も問われますが、成功すれば高収入が望めます。
たとえばコンサルタント専門のエージェントサービスPODでは稼動率40~100%のITコンサルタント案件が多数あります。非公開案件も豊富に取り扱っているため、条件面でも納得の案件獲得につなげられます。
PODサイトには全体の15%程度の求人のみが掲載されており、その他にも85%の非公開求人があります。
フリーコンサルタントを目指している方は、ぜひPODサービスを利用してご自身に合った求人を探してみてください。
ITコンサルタントにおすすめの資格5選
ITコンサルタントに資格は不要ですが、取得しておけばスキルの証明に役立つ資格を5つ紹介します。
基本情報技術者
基本情報技術者は、ITに関連する基本的な知識・技術があることを認定する資格です。マネジメント分野や経営・会計分野からも出題されるため、ITコンサルタントとして活躍するための基礎を幅広く習得できます。
試験実施月 | 通年 |
---|---|
受験料(税込) | 7,500円 |
合格率 | 平均47.1%(令和5年度) |
主催 | IPA(情報処理推進機構) |
出典:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
【CBT】基本情報技術者試験(FE)
応用情報技術者
応用情報技術者高度なITの知識だけでなく、応用レベルでの技術やノウハウを有していることを証明できる資格です。ITコンサルティング経験者向けなので、自分のスキルを客観的にアピールしたい場合は取得しておくといいでしょう。
試験実施月 | 4月・10月 |
---|---|
受験料(税込) | 7,500円 |
合格率 | 約20% |
主催 | IPA(情報処理推進機構) |
出典:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
スケジュール、手数料など | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITストラテジスト
ITストラテジストは、合格率の低い最難関の資格です。ITの知見を活用したプロジェクトの策定力や実行力が問われます。ほかの資格よりも大きなインパクトと高年収に繋がる可能性が高い資格です。
試験実施月 | 4月 |
---|---|
受験料(税込) | 7,500円 |
合格率 | 約15% |
主催 | IPA(情報処理推進機構) |
出典:ITストラテジスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
スケジュール、手数料など | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITコーディネータ
ITコーディネータは認知度の高い経済産業省推進資格です。IT活用に向けた助言・支援を行える人材であることを証明できます。IT経営とDXを実現するプロとして活躍したい方におすすめの資格です。
試験実施月 | 年間2回 |
---|---|
受験料(税込) | 19,800円 |
合格率 | 約50~70% |
主催 | ITコーディネータ協会 |
出典:ITコーディネータ試験 | ITコーディネータ資格取得サイト
合格者数及び合格率発表 – ITコーディネータ協会(ITCA)
プロジェクトマネージャ(PM)
プロジェクトの現場をマネジメントするスキルと知識を証明できる資格です。ステークホルダーの要求に対して柔軟に応えられるコミュニケーションスキルや論理的思考力をアピールしたい方にもおすすめです。
試験実施月 | 10月 |
---|---|
受験料(税込) | 7,500円 |
合格率 | 13.5% |
主催 | IPA(情報処理推進機構) |
出典:プロジェクトマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
スケジュール、手数料など | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITコンサルタントに関するよくある質問
ITコンサルタントとして成功するためのポイントは?
ITコンサルタントとして成功するためには、ITの知識だけでなく、業界やビジネスの知識も習得する必要があります。コミュニケーション能力や論理的思考力の強化も意識しながら、スキルを磨き続けることが大切です。
ITコンサルタントの典型的な1日のスケジュールは?
ITコンサルタントのスケジュールは多様ですが、典型的な例を挙げると下記のようになります。
8:00 メールのチェックやスケジュール確認
9:30 クライアント企業とミーティング(現状分析、要件定義、提案説明など)
12:00 昼食
13:00 メンバーとのディスカッション
15:00 クライアントと電話会議やWeb会議
17:00 提案書や資料の作成
このように、クライアント企業との打ち合わせやメンバーとのディスカッション、資料作成などを日常的に行います。また、夜間や週末に作業をすることもあります。
未経験でもITコンサルタントになれる?
未経験からでもITコンサルタントは目指せます。ただし、最初は研修を経て、徐々に実務に携わっていくのが一般的です。キャリアチェンジする場合は、ある程度の実務経験を求められる可能性があります。
まとめ
ITコンサルタントは企業のIT活用を支援してビジネス競争力強化に貢献する専門家です。専門性と問題解決力が求められるITコンサルタントは、今後ますます重要な存在になると考えられます。高年収を望むならフリーランスとして独立するのもひとつの方法です。
フリーコンサルタントを目指している方は、PODサービスを利用してご自身に合った求人を探してみてください。