M&Aコンサルタントの平均年収は?年収アップを目指す方法を紹介
更新日:12月21日
M&Aコンサルタントはコンサルタントの中でも年収の高い業種です。本記事では、高い専門性を持つM&Aコンサルタントの年収を、雇用形態別や年代別に紹介し、年収アップのポイントやフリーランスの年収シミュレーションなどを紹介します。
飛躍的に増加するM&Aの増加とともに、M&Aコンサルタントも高い注目を集めるようになってきました。高い専門性と高額な案件など、M&Aコンサルタントは高い年収の面でも注目されています。
M&Aコンサルタントに興味を持つ方やフリーランスとしてM&Aコンサルタントとして仕事を始めたいと考えておられる方に向けて、年収の実態を紹介します。また、フリーランスとしての活躍の可能性についても紹介しますので、M&Aコンサルタントに興味を持たれている方はぜひ参考にしてください。
M&Aコンサルタントの年収
M&Aコンサルタントは、企業の買収や売却をサポートし、取引がスムーズに進むよう、幅広い業務を担います。M&Aコンサルタントは企業の重要な経営判断に深く関わることから、大企業のM&Aを担うのは大手コンサルファームが中心ですが、近年増加している中小企業のM&Aの支援は、フリーランスや副業でも携わることができます。
近年注目されているM&Aコンサルタントの年収を、さまざまな観点から見ていきましょう。
M&Aコンサルタントの雇用形態別年収
◆正社員の場合
M&Aコンサルタントの平均年収は、947.6万円です。
令和4年度の全産業での正社員の平均給与は523万円のため、M&Aコンサルタントの年収は平均よりも高いといえます。
出典:M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
令和4年分民間給与実態統計調査|国税庁
◆フリーランスの場合
フリーコンサルタント向け案件紹介サービス「POD」の案件を見ると、稼働率80%〜100%の場合、100〜150万円が相場です。
契約期間は案件によって違いますが、1か月として年収を算出すると、1,200~1,800万円の年収が期待できます。
PODには多くの非公開求人もあります。フリーでコンサルタントの案件を探している方は、ぜひPODに登録し、魅力的な案件を探してみてください。
M&Aコンサルタントの年代別年収
M&Aコンサルタントの年代別年収を見てみましょう。
job tagによると、M&Aコンサルタントの年代別の年収は以下のようになっています。50代を超えると、コンサルティングファームで執行役員などに昇進して高い年収を得る人や、独立する人、企業のM&Aアドバイザーなどに就任する人など、さまざまに分かれ、年収もかなりの幅が出てきます。
年代 | 年収(万円) |
---|---|
~19歳 | 214.6 |
20~24歳 | 421.1 |
25~29歳 | 722.1 |
30~34歳 | 883.4 |
35~39歳 | 976.1 |
40~44歳 | 903.8 |
45~49歳 | 1580.0 |
50~54歳 | 924.0 |
55~59歳 | 1125.6 |
60~64歳 | 960.9 |
65~69歳 | 552.8 |
70歳~ | 429.5 |
出典:M&Aマネージャー、M&Aコンサルタント/M&Aアドバイザー職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
M&Aコンサルタント人気企業の年収
一般に高年収といわれるM&Aコンサルタントですが、トップクラスのコンサルティングファームの年収がどのくらいかを見ていきましょう。
高年収のM&Aコンサルティングファームは、全国版の「平均年収が高い企業」(東洋経済オンライン)でも、高い順位を保持しています。
ここではM&Aコンサルティングファームトップ3と総合順位、平均年収を見ておきましょう。
順位 | 総合順位 | 企業 | 平均年収 |
---|---|---|---|
第1位 | 第1位 | M&Aキャピタルパートナーズ | 2688万円 |
第2位 | 第10位 | ストライク | 1432万円 |
第3位 | 第24位 | 日本M&Aセンターホールディングス | 1202万円 |
参考:東洋経済オンライン「平均年収が高い会社」ランキング全国トップ500
なかでもM&Aキャピタルパートナーズは、過去10年間平均年収でもトップとなっています。事業承継の高いニーズを背景に、大型案件を手掛ける大手コンサルティングファームが、高い年収を維持していることがわかります。
M&Aコンサルタントの年収が高い理由
これまで見てきたように、M&Aコンサルタントの年収はあらゆる職業の中でも、トップクラスの高年収となっています。その理由を見ていきましょう。
高度な専門知識とスキルが求められる
M&Aは企業の買収や統合という複雑で高額な取引を扱うため、財務、法務、税務、経営戦略などの幅広い専門知識が必要です。M&Aコンサルタントは、これらの専門分野に精通しているだけでなく、それを実際に案件に適用する能力が求められるため、高いスキルを持つ人材には高い需要があります。
高額な取引を扱う責任を負う
M&A案件は数億円から数兆円規模に及ぶこともあり、その責任は非常に大きいです。取引の成功が企業の将来に直接影響を与えるため、M&Aコンサルタントは質が高く、なおかつ戦略的なアドバイスの提供が求められます。この責任の重さが、報酬の高さに反映されます。
経営層と直接的にやり取りする
M&Aコンサルタントの交渉相手は、企業の経営層や投資家が中心です。企業経営や投資のプロフェッショナルと直接やり取りするM&Aコンサルタントは、その重要性や影響力の大きさから高い報酬が設定されることが一般的です。企業にとってM&Aは、経営戦略のきわめて重要な一環であるため、M&Aの成功は、経営に大きな価値を提供します。
成果報酬型の報酬制度である
M&Aコンサルタントの報酬には、基本給だけでなく成功報酬が含まれることが多いです。案件が成立すると取引額に応じた成果報酬が支払われるため、成功した大規模案件に関わることで大幅な年収アップが見込まれます。
グローバルな視点が求められる
ビジネスのグローバル化が進む中で、M&Aも国内ばかりでなく、外国企業との間で行われることも少なくありません。国際的なM&A案件では、国によって異なる法制度や商習慣、文化的な違いを理解し、グローバルな視点でコンサルティングを行う必要があります。そのような知識と交渉力で、国際的なM&Aを成立させることは、高い年収に結びつきます。
M&Aコンサルタントの年収を上げる3つの方法
M&Aコンサルタントとして年収を上げるためには、専門知識の習得やネットワークの拡充、案件の獲得力が重要です。ここでは、3つの観点から成功の鍵となるポイントを紹介します。
M&Aコンサルタントに役立つ資格・スキルを身につける
M&Aコンサルタントとしての価値を高めるためには、関連する資格やスキルを身につけることが重要です。特に、「法のるつぼ」とも呼ばれるM&Aは、さまざまな法資格を持っている人の需要は高くなっています。
- 公認会計士(CPA)・税理士
企業経営の基本となる経理や財務のスペシャリストです。また、事業の提携先を選ぶのに必要な与信管理などのスキルを身につけることもできます。 - 司法書士
司法書士は登記のスペシャリストです。M&Aでは、組織再編に際しての商業登記や不動産の所有権移転登記など独占業務があるため、必要不可欠の存在として、高いニーズがあります。 - 中小企業診断士
中小企業のM&Aを手掛けることを希望するなら、持っておきたい国家資格です。財務や人事など、中小企業の問題点を俯瞰し、課題をあぶりだし、最適な戦略を立てることができます。 - M&Aスペシャリスト
日本経営管理協会が認定する民間資格です。M&Aに関連する法知識だけでなく、実務面でのスペシャリストであることも証明されます。 - 事業承継士
一般社団法人事業承継協会が認定する民間資格です。この資格を持っていることで、事業承継に関する法知識を有していることが認められるほか、事業承継関連のセミナーなどを開催することもできます。
上記のような資格は信頼性を高め、クライアントからの信頼を得やすくなります。
また、財務分析や企業価値評価、法律知識など、M&Aに直結するスキルを磨くことが高収入案件に繋がりやすくなります。さらに、交渉力やプロジェクトマネジメントの能力を強化することで、案件の成功率が高まり、成果報酬型の収入も増加します。
クライアントとの信頼関係を構築する
M&A業界では、信頼できるネットワークを持つことが成功の鍵です。業界内の人脈を広げることで、案件紹介や共同プロジェクトの機会が増え、自然と年収も上がります。特に、中小企業のM&A案件では、適切な人脈が副業やフリーランスとしての案件獲得に繋がることが多いため、意識的に人脈を広げましょう。
人脈を広げるためには、以下の方法があります。
- 業界セミナーや勉強会に参加
- 地元の経済同友会に参加
- 金融機関や会計士・税理士・司法書士との連携を強化
フリーランスとして案件を獲得する
フリーランスとして案件を獲得する力も、年収を上げる重要な要素です。副業やフリーランスのM&Aコンサルタントとしては、オンラインのマッチングプラットフォームやM&A関連のフリー案件サイトを活用することで、多様な案件にアクセスできます。
特に、PODのようなプラットフォームは、フリーランスコンサルタントと企業を結びつけるため、案件獲得の効率が向上します。小規模な案件でも、着実に実績を積むことで、より大きな案件やリピートクライアントに繋がり、収入アップが期待できます。
【フリーランス向け】M&Aコンサルタントの年収シミュレーション
フリーランスのM&Aコンサルタントの年収は、スキルセットや経験、案件単価、稼働率などによって大きく変動します。ここでは、一般的なM&Aコンサルタントの業務内容を3つ例に挙げ、それぞれの年収シミュレーションを作成しました。
業務内容 | 求められるスキル | 稼働率 | 契約期間 | 報酬金額 | 想定年収 |
---|---|---|---|---|---|
企業買収・売却の戦略策定 対象企業のデューデリジェンス支援 | ・M&Aに付随する実務経験 ・戦略策定やサービス開発などの企画系案件の実施経験 ・財務分析・デューデリジェンスに関する経験 | 80~100% | 1~3か月 | 100~150万円 | 1,200~1,800万円 |
総合商社でのM&A案件に関する資料作成支援 | ・ファイナンシャルアドバイザリー業務経験 ・戦略策定やサービス開発などの企画系案件の実施経験 | 80~100% | 1~3か月 | 100~150万円 | 1,200~1,800万円 |
M&Aプロセス管理 | ・プロジェクトマネジメント経験 ・M&Aモデリング ・バリュエーションレポート作成経験 | 80~100% | 1~3か月 | 100~150万円 | 1,200~1,800万円 |
M&Aコンサルタントとして成功するために
本記事では、M&Aコンサルタントの年収に焦点を当て、平均年収や年齢別年収、また、大手コンサルティングファームの年収などを紹介してきました。
企業経営者の高齢化が進む中、M&Aは事業承継に悩む中小企業の有力な選択肢です。それとともに、高度な専門知識とスキル・経験を有するフリーランスのM&Aコンサルタントの需要は、非常に高くなっています。
多くの専門家が集まるために、1回1回の案件が確実に次につながる職業ともいえるでしょう。フリーランスでM&Aの経験を積みたいと考えておられる方は、ぜひPODで案件を探してください。