PLMコンサルタントとは?業務内容や必要なスキル、年収、なる方法や将来性を解説

更新日:12月23日


製品の納期短縮やコスト削減といった製品開発や生産管理で発生する課題解決のための提案や戦略を実現する職種がPLMコンサルタントです。製品の品質向上や製造過程の業務効率化などを求める企業から、PLMコンサルタントのニーズが高まっています。


今回の記事では、PLMコンサルタントの概要や業務内容、年収、なるために必要なスキルや資格、なる方法や将来性、キャリアパスについて解説します。




目次




PLMコンサルタントとは





PLMコンサルタントとは製品ライフサイクルにおけるすべての工程を管理し、最適化するPLM(Product Life cycle Management)の手法を提供するコンサルタントです。製品ライフサイクルにおいては、販売や顧客管理の面でのコンサルは従来から提供されてきましたが、製品の設計や開発、研究、企画面は各企業でブラックボックス化されていることも多くありました。


近年の市場ニーズの変化のスピードアップや多様な顧客ニーズの出現などの影響を受け、製造業企業でも設計や開発面での効率化コスト削減といった改善や最適化が求められています。これらの製造業における課題解決のための戦略や手法の立案、提案を行うのがPLMコンサルタントです。





PLMコンサルタントの業務内容





PLMコンサルタントは、企業のPLM(製品ライフサイクル管理)の課題を特定し、最適な解決策を提案する重要な役割を担います。クライアントのニーズを徹底的に分析し、以下のようなコンサルティングを業務として提供します。


PLMシステムの導入支援


製造業企業がPLMの手法を実現するにはPLMシステムの導入が必須です。PLMコンサルタントは、はじめてPLMの導入を検討している企業に対して、企業側の要望をヒアリングし、課題解決のためのPLMシステムの選定や現場での定着といった導入支援を提供します。


既存システムの機能拡張および最適化


PLMコンサルタントは、以下のようなPLMシステムの機能拡張や最適化のための支援を提供します。


  • すでにPLMシステムを導入している企業で新しい課題が発生したとき
  • 取り扱う製品の幅が広がったときなどで既存システムの機能拡張が必要になった
  • PLMシステムをすでに導入しているものの現場での定着につながっていない

業務プロセスの改善提案


PLMコンサルタントは、業務の標準化や効率化のための業務プロセスの改善提案を行います。まず現場での現状を調査し、発生している問題点を整理します。その後取り組むべきプロセスと具体的な実行施策を提案します。


社内体制の整備支援


PLMによって業務プロセスを改善する場合、従来の業務プロセスの改革が必要となることがあります。人材配置や機器などの社内体制の整備が必要になった場合でも、PLMコンサルタントが実行計画の立案や現場での落とし込みを行ったり、ルール作りをしたりといったサポートを行います。


変革マネジメントのアドバイス


製造業企業でPLMを実行する際やPLMシステム導入時、制度や体制の変革が必要な場合のアドバイスを行います。





PLMコンサルタントの業種別の年収





PLMコンサルタントの業種別の年収を解説します。


正社員


PLMコンサルタントの正社員の求人サイトのリサーチ結果から、年収は400~2000万円と幅広いことが分かりました。ボリュームゾーンの年収は500~1200万円です。


PLMシステムの導入支援のみなど担当業務が限定的な場合、または未経験からのPLMコンサルタントの場合は400~700万円、PLMコンサルタントとしての経験や実績を積めば1000万円以上の年収も可能となります。


フリーランス


PODのPLMコンサルタントの案件は稼動率50~100%、報酬150~200万円が多いです。年収に換算すれば900~2400万円となります。


PLMコンサルタントを目指す目的でエージェントサービスの活用を検討しているなら「POD」がおすすめです。


PODは、フリーコンサルタントのためのハイクラス案件を幅広く取り扱っています。高単価案件や上流案件に特化しており、リモート案件や長期案件も充実しているのが魅力です。85%を占める豊富な非公開案件の取り扱いや、継続率90%をほこるサポート力もPODの強みです。PLMコンサルタントのフリーランス案件獲得にも、ぜひご活用ください。







PLMコンサルタントになるために必要なスキル





PLMコンサルタントになるための必要なスキルを紹介します。


PLMに関する専門的な知識やスキル


PLMコンサルタントは製造業企業のPLM導入や改善柵立案を担うコンサルタントのため、PLMに関する専門的な知識やスキルは必須です。コンサルティングファームやITベンダー、SIerなどで PLM領域のコンサルティングやシステム開発経験があれば転職や独立に有利となることも多いでしょう。


製造業に関する知見や理解


PLMは製造業企業のPLM製品ライフサイクルの各工程で発生している課題解決や生産性の向上、業務効率化を目的としているため、PLMだけでなく製造業の他分野での知見があればコンサルティングに活かせます。


たとえばSCMなどのPLM以外の製造業に対してのコンサルティング経験や、開発・設計・生産管理領域での業務経験がある場合は、PLMのコンサルティングにも有効活用できるでしょう。


業界特有の知見や理解


製造業と一口に言っても、企業が取り扱う製品や分野によって発生する課題や悩み、PLMで期待するポイントなどは異なります。PLMコンサルタントとして製造業内の各業界特有の知見を持っていれば、業界特有の高い課題解決力を持ち、企業の生産力や競争力強化を実現できるPLMコンサルタントとしても活躍できるでしょう。


会計管理の知識


製造業のコスト削減を目的にPLMの手法を展開するケースも多いため、経営者の視点や原価計算、社外への提出(財務会計)といった会計管理の知識も問われます。





PLMコンサルタントとして必要な資格





PLMコンサルタントになるために特定の資格を取得する必要はありません。ただし、資格を持つことで自分の知識やスキル、強みの証明となるため転職や独立に有利となることがあります。PLMコンサルタントとして取得しておくと有利となる資格を解説します。


英語・中国語関連資格


製造業企業によっては製造拠点を海外においているところもあるため、PLMコンサルタントは外国語によるコミュニケーションが求められる機会もあります。TOEICのスコアなど英語関連や中国語の資格を取得しておくと、語学力の証明となります。


管理会計検定


「管理会計検定」は日本管理会計教育協会(JEIMA)が運営する資格で、管理会計に特化した日本国内唯一の検定試験です。


管理会計に関する基礎的な用語や概念の理解を目的とした2級に、さらに深い管理会計の仕組みやツールの活用方法といった実務に近い内容の理解を目的とした1級があります。2級の合格率は80%、1級の合格率は30%程度です。1級に合格すると、「認定管理会計士」の試験の受験資格を得られます。


認定管理会計士


管理会計検定1級合格者が受験資格を得られる資格です。取得すると管理会計検定の2級・1級で学んだ知識に加えて専門知識、実務で役立つ意思決定能力があると認められます。試験は3〜5問の論述問題と、1時間程度の面接からなり、合格率は16.7%とやや難易度が高いです。





PLMコンサルタントに求められていること





PLMコンサルタントが顧客から求められている成果や、業務上大切な付加価値について解説します。


設計・開発プロセスの生産性向上・最適化


PLMコンサルタントの担う役割のひとつに、設計・開発プロセスの最適化があります。製品開発の現状を把握することで、PLMコンサルタントは無駄な工程の削減や工程間の連携強化などを提案し、開発リードタイムの短縮や開発コストの削減、設計ミスの削減、設計変更の迅速化、設計情報の共有促進など、設計・開発プロセス全体の生産性向上を実現できます。


生産管理の効率化


PLMコンサルタントによってPLMシステムやツールの導入、選定が実現できれば製造情報の一元管理や、需要予測、在庫管理、製造スケジューリングの最適化につながります。生産管理が効率化すると、在庫コストの削減や納期遅れ防止、従来の紙書類のペーパーレス化も実現できるでしょう。


製品開発リードタイムの短縮


PLMコンサルティングによってPLMシステムやツールの適切な設計と導入が実現すると、設計変更管理やデータの一元化による製品開発のリードタイムの短縮も可能です。リードタイムが短縮できれば、製品の市場への早期投入や、競合他社との差別化による競争率の向上が実現する可能性も高くなります。


業界特有の課題解決


各業界のベストプラクティスを身につけた実績の高いPLMコンサルタントは、業界特有の課題解決にも貢献できます。企業の生産性向上と競争力強化に向けて、専門的な知識を活かし業界の特性を理解した上での最適な解決策の提案が可能です。


コスト削減


PLMコンサルティングでは、製品開発や生産管理におけるコストの削減も期待されます。PLMコンサルタントの提案によって、無駄な工程の排除や設計の標準化、在庫の適正管理、資金の有効活用によってコストの削減が実現や中長期的な収支改善ができるでしょう。


開発リスクの軽減


PLMコンサルタントは、製品開発におけるさまざまなリスクを効果的に軽減する役割も持っています。たとえばPLMコンサルタントの専門的な知識と経験によって設計の不具合や生産性の低下といった開発プロセスに潜む重大なリスクを未然に防ぐことも可能です。PLMシステムやツールの選定と導入、運用へのサポートによって、ITシステムに関するリスクも大幅に低減できます。


顧客満足度の向上


PLMコンサルタントの助言に基づいて、効果的な品質管理体制を構築することで、製品の品質リスクも低減できます。その結果製品の品質を担保でき、信頼性が高まることで顧客満足の向上も実現するでしょう。





PLMコンサルタントになるための方法





PLMコンサルタントになるための具体的な方法を解説します。


製造業の設計・開発・品質管理部門から移動または転職、独立


製品ライフサイクルの工程である設計や開発、品質管理部門での業務経験を積んでから同じ企業のPLM担当へ移動するか、転職または独立してPLMコンサルタントになる方法です。実際の設計や開発、品質管理の実務経験や専門的な知識を活かしたPLMコンサルティングを提供できるでしょう。


PLMシステムを取り扱うIT企業から転職または独立


PLMシステムやツールを取り扱うIT企業から転職または独立してPLMコンサルタントになる方法です。PLMシステムの選定や導入支援に特化したPLMコンサルタントを目指せます。


製造業の現場から転職または独立


設計や開発、生産管理以外の製造業での実務経験を積んでからPLMコンサルタントに転職または独立する方法です。特定業界での性質や製品知識などへの理解や知識のある、特定業界に強みを持つPLMコンサルタントを目指せるでしょう。


独立する場合には安定的に案件を得られる体制を整えておくのもおすすめです。コンサルタントに特化したエージェントサービスを利用するなどすれば、案件の獲得に有効と言えます。PODではPLMコンサルタント向けの案件も豊富に取り扱っています。





PLMコンサルタントに向いている人とは





PLMコンサルタントに向いている人、どんな素質があるとPLMコンサルタントとして活躍できるかを解説します。


成長意欲のある人


PLMコンサルタントは、製造業のプロセスやPLMシステムに精通している必要があります。製造業をとりまく環境の変化や最新の技術については常にアンテナを張って新しい知識を積極的に取り入れられる人や、向上心、成長意欲のある人が向いているでしょう。


柔軟性が高い人


製造業界は市場ニーズや技術の変化も激しいため、臨機応変に対応し、新しい状況や要件に適応する能力が必要です。柔軟性が高い人はPLMコンサルタントに向いています。


論理的思考能力のある人


コンサルタントに共通するクライアントの課題や課題に対して、分析的に考え、効果的な解決策を提案できる能力が必要です。特にPLMコンサルタントは製造業独自の専門的な知識や理解も必要となるため、クライアントに提案や施策を分かりやすく説明するための論理的思考能力も求められます。





PLMコンサルタントの将来性





人工知能(AI)、ビジュアルコラボレーションツール、クラウドベースの PLM、デジタルスレッドといった製造業のPLMを加速させるための技術は目まぐるしく進歩しています。今後もPLMの重要性そのものが高くなっていくため、PLMコンサルタントは安定的な需要が見込まれるでしょう。





PLMコンサルタントのキャリアパス





PLMコンサルタントのキャリアパスを紹介します。


特定業界に特化したPLMコンサルタント


PLMコンサルタントとしての経験と実績を積んで、PLMコンサルタントのスペシャリストになるキャリアパスです。専門知識や特定業界への強みを活かしたコンサルティングを提供できるようになるでしょう。


プロジェクトマネージャー


複数のプロジェクトを管理するプロジェクトマネージャーとなる方法です。PLMコンサルティングは改善する工程が多岐に渡ったり、行う施策や戦略が幅広くなったりすることもあるため、チームでひとつのプロジェクトを担うこともあります。


PLM事業の責任者


製造業企業でPLM事業を推進、運用する責任者となるキャリアパスも可能です。


PLMコンサルタントとして独立


PLMコンサルタントとしての実績を積んでから独立する方法です。安定して案件を得るにはPLMコンサルタントの案件を豊富に取り扱っているエージェントサービスを利用するのがおすすめです。


PODサイトには全体の15%程度の求人のみが掲載されており、その他にも85%の非公開求人があります。PLMコンサルタントとしての独立を検討している方は、ぜひPODサービスを利用してご自身に合った求人を探してみてください。







PLMコンサルタントに関するよくある質問





PLMコンサルタントに関するよくある質問を回答とともに解説します。


PLMコンサルタントとPLM事業部との違いとは?


PLMコンサルタントはおもに製造業企業のPLMの構築や改善のためのサポートを提供するコンサルタントです。PLM事業部は製造業企業内でPLMのシステム構築や推進、改善などの運用を行う部署のことを指します。


PLMコンサルタントは激務?


PLMコンサルタントを含めコンサルタント業は激務というイメージを持つ方も多いかもしれません。各コンサルファームでは、優秀なコンサルタントを確保、定着させるために働き方改革や待遇改善を行っています。


また、PLMコンサルタントは官公庁がクライアントとなることもあり、労働環境が悪いなどプロジェクトの状況によってはクライアント側から改善を求められることもあるかもしれません。プロジェクトの進捗状況によっては忙しくなることもありますが、激務の状態が継続する、といったことはないと言えるでしょう。





まとめ

PLMコンサルタントの業務内容や年収、必要なスキルや資格、なる方法やキャリアパスについて解説しました。PLMの導入や定着ニーズが高まっていることからも、今後もPLMコンサルタントは安定した需要が見込まれる職種です。特定分野に強いPLMコンサルタントになるのはもちろん、さまざまなキャリアパスも実現できます。


コンサルタント向けエージェントなどを活用しながら、ぜひPLMコンサルタントを目指してみませんか。