SCMコンサルタントとは?業務内容や年収、必要なスキルや資格、なる方法を解説

更新日:12月23日


サプライチェーンで発生する課題解決や業務の効率化・最適化を目的とした手法であるサプライチェーンマネジメント(SCM)が重要視されています。SCMを実現する戦略や手法、改善案を提案する専門家がSCMコンサルタントです。SCMが重要視されているのにともない、SCMコンサルタントのニーズも高くなっています。


今回の記事では、SCMコンサルタントの概要や業務内容、年収、必要なスキルや資格、なる方法や将来性、キャリアパスを解説します。SCMコンサルタントを目指したい方はぜひ参考にしてください。




目次




SCMコンサルタントとは





SCMコンサルタントとは、企業のサプライチェーンマネジメント(SCM)で発生する課題解決や、企業のサプライチェーンの全体管理や最適化を担うコンサルタントです。


サプライチェーン(供給チェーン)とは製品が製造されてから消費者に届くまでの流れを指します。SCMとは消費者へ効率的に製品を届けるためにこのサプライチェーン全体を管理・最適化する手法のことです。近年、各企業のEC事業展開の拡大やグローバル化、市場ニーズの多様化やスピードアップなどの流れを受けて、業務効率化やコスト削減を目的としたSCMが重要視されています。SCMコンサルタントは専門的な知識を活用し、企業に対してSCMの課題への解決策や価値のある提案を行う職種です。





SCMコンサルタントと経営コンサルタントとの違い





SCMコンサルタントはSCM領域に強みを持つ専門性の高いコンサルタントです。一方、経営コンサルタントは総合的な経営相談に対応しているため、対応する分野や業界に制限がありません。企業の経営状態の改善または良い状態を維持するための提案や戦略を提供するのが、経営コンサルタントです。





SCMコンサルタントの業務内容





SCMコンサルタントは、企業のSCMで発生している課題解決や改善のための提案や戦略立案を行うのが役割です。SCMコンサルタントの具体的な業務内容を解説します。


課題の抽出と分析


SCMコンサルタントは、企業の物流やサプライチェーンに関する課題の抽出と分析を行います。抽出・分析される主な課題には以下のようなものがあります。


  • 在庫コストの削減
  • 生産計画の最適化
  • サプライヤーとの協業強化
  • 輸送・配送の最適化
  • リードタイムの短縮など

解決策の提案


分析した課題に対して、SCMコンサルタントは以下のような解決策を提案します。


  • システムやツールの導入・運用
  • 各プロセスの改善
  • 新しいビジネスモデルの提案など

実行計画の策定


提案した解決策を実行するための計画策定と戦略の立案を行います。プロジェクトのスケジュールや予算、役割分担などの決定やKPIの設定を行い、実行の準備を進めます。


実行支援


実行計画にもとづいた解決策の実行の支援を提供します。たとえばシステムやツールの導入や運用が解決策の場合、システムやツールの選定や導入、定着のための支援を提供するなど、実際の作業に関するサポートなどを、SCMコンサルタントは行います。


成果の評価


実行した結果を評価し、問題点や改善点を洗い出します。洗い出された問題点や改善点は、次回以降の改善点に反映させます。PDCAサイクルを回しながら、SCMコンサルタントはSCMの改善や最適化を実現します。





SCMコンサルタントの業種別の年収





SCMコンサルタントの年収の目安を業態ごとに解説します。


正社員


SCMコンサルタントの正社員として働いた場合の年収は、求人サイトを参考にしたところ500~2000万円と幅が広くボリュームゾーンは800~1200万円です。未経験は500万円~、シニアマネージャーなど役職に就くと1200万円以上の年収となることも少なくありません。


フリーランス


SCMコンサルタントとして独立し、フリーランスになった場合の年収をPODの案件から抽出しました。報酬は100万~150万円、稼動率は50~100%がボリュームゾーンのため、年収に換算すると目安は600~1800万円です。ライフスタイルに合わせた稼動率の案件を選ぶ、副業をするといったことも可能でしょう。


「POD」では、SCMコンサルタント向けの豊富なハイクラス案件を取り扱っています。高単価案件や上流案件に特化しており、リモート案件や長期案件といった、85%を占める豊富な非公開案件も取り扱っています。SCMコンサルタントとしての独立を検討している際や、納得の案件探しを実現したいときには、ぜひ「POD」をご利用ください。







SCMコンサルタントになるために必要なスキル





SCMコンサルタントとして活躍するために求められるスキルを順に解説します。


SCMに関する専門的な知識とスキル


SCMコンサルタントには、サプライチェーンの全体像の把握と最適化を実現するために、以下のようなSCMの各分野における専門的な知識やスキルが求められています。


  • 在庫管理の原則
  • 物流ネットワークの設計
  • 需要予測の手法
  • 製造業における生産/商品企画
  • 物流/生産管理
  • 製品設計開発
  • PLM改革(開発リードタイム短縮、BPR/業務改善)
  • 購買企画
  • 流通業における物流企画管理
  • ロジスティクス実務(物流企画・管理、通関)
  • ロジスティクス改革(ネットワーク再構築、3PL導入、WMS導入、RFID導入)など

これらのスキルは実務経験を通じて身に付けるほか、資格取得などで知識として身に付けることも可能です。


ITの基本知識


SCMコンサルタントは、企業のITシステムと連携し、SCMの効率化を図るための企画の立案や、SCMシステムの導入支援を行うことがあります。新たなシステムを導入するためにITの基本知識が求められることも多いです。


語学力


企業のサプライチェーンがグローバル規模で構築されている、またはグローバル化にともなうサプライチェーンの最適化を求められることも増えています。したがってSCMコンサルタントには英語をはじめとする語学力が求められるでしょう。国際的なプロジェクトに携わるときや、企業の生産拠点や販売拠点が海外にも及ぶとき、海外のクライアントの案件を受けるときには、英語などの言語でのコミュニケーションが必要となります。


プレゼンテーション能力


SCMコンサルタントとしてサプライチェーンで発生している課題を抽出し、有効な戦略や提案ができたとしても、説明が分かりにくい場合はクライアントから賛同を得られないことがあります。専門用語は分かりやすい言葉に置き換える、データはグラフなど視覚的に示すといった、効果的なプレゼンテーションができる能力もSCMコンサルタントには必要です。


部門間調整力


サプライチェーンマネジメント(SCM)においては、製造、物流、販売といった多岐にわたる部門との連携を求められます。サプライチェーン全体で成果を出すためには、業務内容や目標も異なる部門間を効率よく調整するための能力も必要です。SCMコンサルタントは、異なるチームや部門の間に立ち、目標の調和や、各部門からの意見や要望の取りまとめ、課題に対して統一されたアプローチの確立などを行います。


データ分析力


SCMにおける課題解決には、販売のトレンド、在庫、サプライチェーン内のボトルネックなど多様なデータソースを分析、解析した上で有益な情報を抽出し、効果のある解決策を考えなければいけません。そのためにはデータ分析力が必要です。データ分析力が高ければ、需要予測やリスク管理といった不安定な要素も高い精度での予測や戦略立案が可能となります。





SCMコンサルタントに必要な資格





SCMコンサルタントとなるために特定の資格は不要ですが、特定知識やスキルを持つ証明となるため取得しておくことで転職や独立に有利となることがあります。SCMコンサルタントとして取得しておきたい資格を順に解説します。


MBA


MBA(Master of Business Administration)とは、「経営学修士」の学位のことです。ビジネススクールや大学院などで経営学の修士課程を修了した者に授与されます。MBAを取得すると、ビジネスリーダーに欠かせない人的資源管理、財務会計、マーケティング、統計学、経済学に関する専門的な知識があることの証明にもなります。オンラインで受講できるMBAのコースもあり、社会人になってからでも取得は可能です。企業によってはMBAの取得に力を入れているところもあります。


APICS認定資格


APICS(エピックス)認定資格とは、アメリカの団体「American Production and Inventory Control Society」が運営する資格です。「CPIM(計画・在庫管理)」・「CSCP(サプライチェーン・プロフェッショナル)」・「CLTD(ロジスティクス・輸送・流通)」領域におけるSCMに関する体系的な知識を有していることを証明できます。


SCM検定


SCM検定は、日本サプライチェインマネジメント協会が認定する資格です。SCMの中でも重要な役割を担うロジスティクス領域に関する知識が問われ、資格を取得すると「物流コンシェルジュTM」の称号を得られます。受験資格として1年以上のロジスティクス領域における実務経験、もしくは日本SCM協会指定の勉強会などへの参加が求められます。





SCMコンサルタントの仕事で求められていること





SCMコンサルタントは、SCMの改善や課題解決により以下のような成果を上げることが期待されています。


  • サプライチェーン全体の一元管理による無駄の削減
  • 過剰在庫の防止
  • 過剰生産の防止
  • コストダウン
  • 生産性の向上
  • 業務効率化 など




SCMコンサルタントになるための方法





SCMコンサルタントになるための具体的な方法を解説します。


総合コンサルティングファームへ転職する


総合コンサルティングファームへ転職する方法です。SCMコンサルタントを目指せる代表的な総合コンサルティングファームには、以下のようなファームがあります。


  • アクセンチュア株式会社
  • デロイトトーマツコンサルティング合同会社
  • EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 など

総合コンサルファームでは取り扱う分野やテーマが幅広いため、SCMコンサルタントを経験後経営コンサルタントなどへのキャリアを考えているときに選択肢となるでしょう。


製造業で経験を積んでから転職または独立


製造業にて生産管理やロジスティクス実務、海外生産工場の立ち上げといったサプライチェーンに携わる実務・業務経験を積んでから転職、または独立する方法です。SCMコンサルタントの業務に活用できる、SCMに関する実践的な知識を身に付けられるでしょう。


独立しフリーランスのSCMコンサルタントとして活躍するには、安定的に案件を受注できる体制をつくることが重要です。コンサル向けエージェントサービスの利用も検討してみましょう。


SCMコンサルタントの副業案件獲得のためのエージェントサービスなら「POD」をぜひご検討ください。PODは、フリーコンサルタントのためのハイクラス案件紹介を行っております。継続率90%を実現するサポート力の強さにも自信があります。SCMコンサルタントの副業案件獲得にも、ぜひご活用ください。







SCMコンサルタントに向いている人





SCMコンサルタントに向いている人や求められる資質について解説します。


継続的な学習ができる人


SCMコンサルタントとして活躍するには、サプライチェーンに関する最新ニュースや業界動向、競合他社の動き、ITの最新技術など、幅広い情報を集めたり、SCMコンサルタントとしてのスキルアップを目的に語学力を身に付けたり、提案力を磨いたりする必要があります。継続的に学習ができる人や、向上心のある人が向いていると言えるでしょう。


柔軟性のある人


SCMコンサルタントはクライアントのスケジュールに合わせて業務を進める必要があったり、休日に突発的な問題発生への対応業務を行ったりといったこともあります。臨機応変に対応できる柔軟性のある人は、SCMコンサルタント向きの資質を持っています。


プレッシャーに強い人


コンサルティングファームによっては、売上目標・ノルマが設定されていたり、目標の売上を達成するために、予算管理を行ったりすることがあります。ノルマが設定されていても必要以上にプレッシャーを感じることなく、常に成果を発揮できる人がSCMコンサルタントに向いているでしょう。





SCMコンサルタントの将来性





近年SCMの重要性が高まったことを受けて、SCMコンサルタントのニーズも高くなっています。SCMの重要性が高くなった要因とSCMコンサルタントの将来性について解説します。


企業のグローバル化の進展


コスト削減や材料調達の効率化などを背景に、企業が生産拠点を複数の国に設置し、製品の組立から完成まで海外での部品の調達や製造が行われるようになりました。グローバル化によって異なる地域間での調整、法規制の遵守、物流の最適化といったサプライチェーンの管理上での課題が発生したり、複雑になったりしています。企業の競争力の維持や成長を続けるためにはSCMを活用して効果的な調整とリスク管理を行う必要があるでしょう。


労働人口の減少


少子高齢化が進む日本をはじめ、多くの国々で労働人口が減少しています。労働力不足を補うため、少ない人手で生産性を高めるための手法としてSCMを活用した、生産プロセスの効率化、自動化、ロボティクス技術の導入が多くの企業で進められています。


消費者ニーズの多様化


インターネットとデジタルテクノロジーの進化によって消費者の購買行動が変化しました。たとえばEC市場の拡大により、消費者は24時間いつでもどこでも商品の購入が可能です。


消費者の購買行動の変化にともない、さまざまな製品やサービスに対する消費者の期待も高まっています。企業はより迅速かつ柔軟に市場の変化に対応する必要があるため、SCMを利用した在庫管理を最適化、需要の変動に応じたスムーズな生産調整といった消費者の多様なニーズに効率的に対応することが求められています。


リスクマネジメントや事業継続性へのニーズの高まり


COVID-19の影響により、物流・サプライチェーンにおけるリスクマネジメントや事業継続性に関するニーズも高まっています。


これらを背景に、専門性の高い知識やスキル、経験によって物流・サプライチェーン改善案件やSCMシステムの導入や運用支援などを実現するSCMコンサルタントの需要が高まっていると言えるでしょう。今後もSCMコンサルタントの将来性は高いと予測できます。





SCMコンサルタントのキャリアパス





SCMコンサルタントのキャリアパスについて解説します。


他分野・業界のコンサルタント


SCM管理システムの導入や運用には、プロジェクトの現場と製造・物流の現場、経営層、外部のパートナー企業などと連携やコミュニケーションを取る必要があります。さらに戦略やITシステム導入面での実績を積むことも可能です。業務経験を活かしてPMO、経営、IT、WEBといった他分野でのコンサルタントとして活躍する方法もあります。


SCM関係の他職種


SCMの専門的な知識やスキルを活かして、企業のSCM関連分野の職種や責任者になる方法もあります。


フリーランスコンサルタント


コンサルタントとして身に付けたコミュニケーション能力や質問スキル、論理的思考力、洞察力などを活用して独立、フリーランスとして活躍する方法です。

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SCMコンサルタントに関するよくある質問





SCMコンサルタントに関するよくある質問を紹介します。


SCMコンサルタントは激務?


SCMコンサルタントは他のITシステムやツールに関するコンサルタントと比較すると、他部署や外部企業と足並みをそろえて業務を行う必要があるため、状況によっては激務となることがあります。ただしスケジュールや案件数を調整することで無理なく働くことも可能です。


未経験からSCMコンサルタントになれる?


コンサルタント未経験でもSCMコンサルタントになれます。特に購買、販売、物流、製造に関する知識や実務経験のあるSCM領域の業務経験がある人、SCMシステム導入支援に役立つSE・プログラマの経験を持つ人が優遇されやすいでしょう。





まとめ



SCMコンサルタントの概要や業務内容、なる方法や必要なスキル、資格について解説しました。サプライチェーンマネジメントの重要性が高まっていることを受けて、今後もSCMコンサルタントは安定した需要が見込まれる職種です。自分のスキルや実力を発揮できるファームへの就職や案件獲得を目指し、エージェントサービスなどを活用しながらSCMコンサルタントを目指しましょう。