財務コンサルタントの仕事内容とは?必要なスキルや年収、キャリアパスを徹底解説

更新日:12月24日

財務コンサルタントは、クライアント企業の財務に関する議題を解決する専門家です。本記事では、財務コンサルタントの概要とともに似た職種との違い、具体的な業務内容、年収を解説します。業務に必要となる資格や仕事に求められるもの、向いている人の特徴も紹介します。


財務コンサルタントは、企業の財務に関する課題を解決し、持続可能な成長を支援する専門家です。公認会計士や税理士の他、企業の財務経験者からの転職先としても注目を集めています。


本記事では、財務コンサルタントの概要の他、似た職種との違い、主な業務内容、年収を解説します。業務を行う上で必要な資格や仕事に求められる成果、向いている人の特徴も解説しますので、財務コンサルタントへの転職をお考えの方は参考にしてください。




目次




財務コンサルタントとは?





財務コンサルタントとは、クライアント企業の財務に関する課題を解決する専門家です。企業の財務体質を改善し、持続可能な成長を支援するのが財務コンサルタントの役割です。


具体的には、企業の財務デューデリジェンス(財務状況の分析)の実施、財務リスクの評価と管理、財務報告の改善を含む財務の健全化や資金調達戦略の策定、M&A、事業再生、投資戦略の立案などを行います。





財務コンサルタントと似た職種との違い





財務コンサルタントは、企業の財務面を分析・強化して、持続可能な成長を実現する専門家です。財務コンサルタントと似た職種に、経営コンサルタント、M&Aコンサルタント、会計士があります。


ここでは、これらの職種の役割と財務コンサルタントとの違いを解説します。


経営コンサルタント


経営コンサルタントは、企業経営者に対して経営全般に関するアドバイスを提供し、経営戦略の立案や業務改善を支援する専門家です。


経営コンサルタントは広範な経営課題に対応するのに対し、財務コンサルタントは特に財務面に焦点を当てて、財務データの分析や資金調達、財務リスク管理など、財務に特化した専門知識を提供します。


M&Aコンサルタント


M&Aコンサルタントは、企業の合併や買収に関する専門的なアドバイスや支援を提供する専門家です。


M&AコンサルタントはM&Aプロジェクト全体をサポートするのに対し、財務コンサルタントはM&Aの一部として財務デューデリジェンスや企業価値評価を担当することが多いでしょう。


M&AコンサルタントはM&Aプロジェクトを通じた戦略立案や交渉支援も行いますが、財務コンサルタントは財務面の分析と評価に特化しています。


会計士


会計士は、企業の財務諸表の作成や監査、税務申告を行う会計の専門家です。


会計士は主に財務報告や税務に関する業務を担当するのに対し、財務コンサルタントは企業の財務戦略や資金調達、財務リスク管理など、より戦略的なアドバイスを提供しています。


会計士は法的な基準に基づいて業務を行いますが、財務コンサルタントはクライアントのビジネス目標に応じたカスタマイズされたソリューションを提供します。





財務コンサルタントの仕事内容





財務コンサルタントの仕事内容は次の通りです。


  • 財務戦略の立案
  • 財務プロセスの改善
  • 財務分析と報告
  • 法規制対応

それぞれ具体的に解説します。


財務戦略の立案

財務コンサルタントの主な仕事は、企業の財務戦略の立案です。


長期的な成長を支えるために、資金調達計画、投資戦略、M&A戦略などを含む財務戦略を策定します。


企業は財務コンサルタントの策定した財務戦略をもとに、資金調達や投資、M&Aの実行において資金効率を最大化させ、持続可能な成長を実現します。


財務プロセスの改善


財務プロセスの改善も、財務コンサルタントの仕事です。企業の財務における業務プロセスを分析して会計システムの最適化や内部統制の強化を実施し、財務プロセスの効率化や改善策を提案します。


業務効率が改善されればコスト削減や内部統制の強化が実現するため、企業の財務健全性の向上も期待できます。


財務分析と報告

財務分析とその報告も財務コンサルタントの業務です。具体的には、企業の財務データを分析した上で、財務諸表の作成を行い経営陣に対して財務状況の報告を行います。さらに、報告後の予算管理も財務コンサルタントが担当します。


財務分析において大切なのは正確な財務情報の提供です。経営陣に財務面から適切なアドバイスを行うことで、経営判断の質の向上が期待できます。


法規制対応


財務にはさまざまな法規制があります。これらの法規制に合致し、健全な企業経営を推し進めるのも財務コンサルタントの役割です。具体的には、財務に関連する法規制のモニタリングや税務コンプライアンス、新規法規制などへの対応を行います。


法規制に準拠する経営が実現すれば企業の経営リスクを最小化でき、社会的な信頼性も向上します。





財務コンサルタントの年収





ここでは、財務コンサルタントの一般的な平均年収について解説します。


一般的な平均年収


財務コンサルタントの平均年収は、一般に、400~2,160万円といわれています。大きく幅があるのは、経験や役職、成果によって収入額が異なるためです。


後述するように、特にフリーランスの財務コンサルタントとして独立する場合と、大手コンサルティングファームに所属する場合とでは年収に開きが見られます。


フリーの財務コンサルタントの年収相場


フリーコンサルタントとして独立する場合は、担当する案件の内容によって報酬が異なります。一般的なフリーの財務コンサルタントの年収相場は月収100~180万円で、年収に換算すると1,200~2,160万円です。


ただし、フリーの財務コンサルタントとして業務を行う場合、その他の事業があるケースも多いため、1,500万円前後がボリュームゾーンになります。


なお、コンサルティングファームなど、企業に所属する場合の財務コンサルタントの年収について、詳しくは次の記事を参考にしてください。




財務コンサルタントの年収は働き方や役職によって大きく異なります。経験を積むことで高収入を目指すことができる職種といえるでしょう。





財務コンサルタントに必要な資格・スキルや経験





ここでは、税務コンサルタントとして活躍する際に役立つ資格やスキルを解説します。


必要な資格


公認会計士とは、財務報告や監査、税務に関する高度な知識を持つ専門資格です。財務コンサルタントの業務においては、財務諸表の監査、税務申告、財務戦略の立案などに役立てられます。


税理士は、税務に関する専門知識を証明する資格です。税務コンサルティングや法人税などの各種税務申告、税務リスク管理などに必須の資格といえます。


中小企業診断士は、中小企業の経営課題を診断し、改善策を提案する技能を有することを証明する資格です。経営戦略の立案や事業再生、資金調達支援に役立ちます。


証券アナリストは、企業における投資分析やポートフォリオ管理に関する能力を証明する専門資格です。投資戦略の立案や資産運用コンサルティングに応用可能です。


必要なスキル


財務コンサルタントに求められるスキルは次の通りです。


財務コンサルタントに不可欠なのが、財務諸表や財務データを詳細に分析する財務分析スキルです。財務状況の評価や改善提案、投資判断のサポートなどの側面で必要になります。


企業では複数のプロジェクトが進行するため、財務面も同時に管理しなければなりません。そこで求められるのが、プロジェクトの計画、実行、監視を効果的に行うスキルです。プロジェクトマネジメントを通じて、クライアント企業の目標達成を支援します。


クライアントやチームメンバーと効果的にコミュニケーションを取れるスキルも必須です。コミュニケーションを通じて、クライアント企業のニーズを正確に理解し、適切な提案を行う必要があります。


財務コンサルタントには専門的なスキルだけでなく、エクセルやパワーポイントなどのツールを使いこなすITスキルも求められます。ツール操作に長けていることで、財務データの分析や、報告書の作成、プレゼンテーションの準備を円滑に行えるでしょう。

また財務スキルを副業で動のように活かすのか?を以下の記事で解説してます。





財務コンサルタントの仕事で求められること





財務コンサルタントは、クライアント企業の財務健全性を高め、持続可能な成長を支援するために、以下の成果と付加価値を提供します。


成果として求められるもの


財務コンサルタントに成果として求められるものは、次の通りです。


  • 財務健全性の向上: 企業のキャッシュフロー改善、負債比率の低減
  • 資金調達の成功: 必要な資金の確保、成長戦略の支援
  • M&Aの成功: 成功したM&A取引、シナジー効果の実現

それぞれ解説します。


財務コンサルティングにおいて最も求められるのが、クライアント企業の財務健全性の向上です。企業の財務状況を分析して改善策を提案・実行することで、財務健全性を向上させます。

具体的には、企業のキャッシュフローの改善や負債比率の低減、財務リスクの最小化が求められます。


企業が資金を必要とする場合には、最適な資金調達方法を提案して実行をサポートすることも必要です。資金調達に関するアドバイスを提供することで経営に必要な資金を確保させ、企業の成長戦略を支援します。


M&Aを検討している企業においては、成功に導くべく、財務デューデリジェンスを行い、適切な評価とリスク管理を提供することも重要です。

M&A取引を成功させることで、買収後の統合プロセスを円滑化し、企業統合後のシナジー効果を実現させます。


業務上大切な付加価値


財務コンサルティングでは、以下の内容が付加価値として求められます。


  • 戦略的な財務アドバイス: 持続可能な成長の実現
  • 専門知識と経験: 信頼性の高いサポート
  • 問題解決能力: 財務リスクの最小化
  • コミュニケーション能力: 円滑なプロジェクト進行

それぞれ解説します。


財務コンサルタントは、クライアント企業の長期的な成長戦略に基づいた財務戦略を提案しなければなりません。企業は財務アドバイスに基づき、持続可能な成長を実現します。


財務アドバイスを行う前提として求められるのが、財務分析や資金調達、M&A、事業再生に関する深い知識と豊富な実務経験です。

財務コンサルタントは専門知識と経験という裏付けをもとに、クライアント企業が安心して財務戦略を進められるよう、信頼性の高いサポートを提供します。


財務コンサルタントは、企業の財務に関する複雑な問題が生じた場合に、迅速かつ効果的に解決する必要があります。クライアント企業の財務リスクを最小化することで、安定した経営を支援できます。


クライアント企業や関係者との円滑なコミュニケーションを図る事も大切です。クライアントのニーズを的確に把握し対応できれば、プロジェクトをスムーズに進行できるでしょう。


このように、財務コンサルタントには多岐にわたるスキルと経験を活かした上で、クライアント企業に対して高い付加価値を提供することが求められます。





財務コンサルタントになるには?





財務コンサルタントとしてキャリアをスタートするには、以下のような企業に就職するのが一般的です。


大手コンサルティングファーム


大手コンサルティングファームでは、グローバルなプロジェクトに関与する機会が多く、幅広い経験を積むことができます。


具体的には、BIG4と呼ばれるKPMGコンサルティング、デロイト トーマツ コンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、PwCコンサルティングなどが該当します。


国際的なキャリアを目指す人には特におすすめです。


中小規模のコンサルティング会社


大手コンサルティングファームに限らず、中小規模のコンサルティング会社でも財務コンサルティングのキャリアをスタートできます。大手に比べて柔軟な働き方が可能で、幅広い業務経験を積めるのが特徴です。


中小規模のコンサルティング会社には、地域密着型や特定の業界の特化型などがあげられます。


幅広い業務経験を積みたい人や、地域に根ざした仕事をしたい人におすすめです。


金融機関や事業会社の財務部門


銀行や証券会社などの金融機関や大手企業の財務部門でも、実務経験を積むことで、財務コンサルタントとしての基礎を固められます。


その業界の実務経験を積みながら、将来的にコンサルタントとして独立を目指す人におすすめです。既に同業界で働いている場合は、社内異動や社内公募を利用して、財務コンサルタントとしてのポジションを目指すと良いでしょう。


また、異業界からの転職を考えている場合は、財務業界に強い転職エージェントを利用し、財務コンサルタントとしてのキャリアをスタートするのがおすすめです。


なお、フリーの財務コンサルタントとして独立する場合は、 事業が軌道に乗るまで案件獲得が難しい場合があります。フリーランス向けのプラットフォームやネットワークを活用して、プロジェクトベースで仕事を受けると良いでしょう。


フリーコンサルタントに特化したエージェントサービスのPODでは、ご自身のスキルや経験に応じた案件をご紹介しています。財務コンサルタント向けの案件も多数ございますので、フリーの財務コンサルタントとしてご活躍中の方は、ぜひご利用ください。

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財務コンサルタントに向いている人・向いていない人の特徴





ここからは、財務コンサルタントに向いている人、向いていない人の特徴を解説します。


財務コンサルタントに向いている人の特徴


財務コンサルタントに向いているのは次のような人です。


財務コンサルティングには、財務データを詳細に分析し、問題点や改善点を見つけ出す能力が必要です。そのため、データ分析力に秀でた人に向いています。


コンサルティング業務においては、クライアント企業の担当者との円滑なコミュニケーションが求められます。また、M&Aなどのプロジェクトでは、複数人とコミュニケーションをとる必要があるため、コミュニケーション能力は必須です。特に、複雑な財務情報を分かりやすく説明する力が重要です。


財務コンサルタントには、財務上の課題を把握し、迅速かつ効果的に解決するための創造力と実行力が求められます。


企業財務にはさまざまな人が携わっているため、先導してまとめる力が必要です。


企業の財務分析を行う上で用いる財務情報は秘匿性の高いものです。そのため、財務コンサルタントには高い倫理観と信頼性が求められます。


財務コンサルタントに向いていない人の特徴


財務コンサルタントは次のような人にはやや不向きです。しかしそれぞれ対策することで、コンサルタントをしている人も多くいます。


財務コンサルタントの主な業務は、財務データの分析です。そのため、数字に苦手意識がある人にはやや不向きかもしれません。


先述の通り、クライアントのニーズや課題を引き出すには、コミュニケーションが求められます。また、M&A取引などに関わる場合は、複数人とのコミュニケーションが必要となるため、人と話すのが苦手な人にはまずはコミュニケーションスキルを上げましょう。


財務コンサルタントはプレッシャーのかかる状況で働くことが多いため、ストレス耐性を身に着けることが大切です。





財務コンサルタントの将来性とキャリアパス





ここからは、財務コンサルタントの将来性とキャリアパスについて解説します。


市場としての将来性


財務コンサルタントは、今後も成長が期待される市場です。デジタル技術の進展やグローバル化の進行により、企業は複雑な財務戦略を必要としているからです。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に伴い、ITスキルを持つ財務コンサルタントの需要が高まっています。


財務コンサルタントのキャリアパス


財務コンサルタントのキャリアパスは、以下のように多岐にわたります。


なお、独立を検討される方は、コンサルティングファームやコンサルティング会社であらかじめ経験を積み、知識を身につけることが望ましいでしょう。


財務アナリストやジュニアコンサルタントとしてスタートし、基本的な財務分析やリスク管理のスキルを習得します。


シニアコンサルタントやプロジェクトマネージャーとして、より大規模なプロジェクトを担当し、クライアントとの関係構築やチームのリーダーシップを発揮します。


パートナーやディレクターとして、企業全体の財務戦略を策定し、クライアントの経営層と直接対話する役割を担います。他のコンサルティングファームや金融機関への転職、独立も可能です。


財務コンサルタントは、専門知識と実務経験を積むことで、幅広いキャリアオプションを持つことができます。市場の需要に応じてスキルを磨き続けることで、安定した高収入とキャリアの成長が期待できます。





財務コンサルタントに関するよくある質問





財務コンサルタントに関するよくある質問をまとめました。


財務コンサルタントは激務ですか?


財務コンサルタントの仕事は一般的に激務とされています。特に、財務報告などプロジェクトの締め切りが近づくと長時間労働が求められることが多いです。一方で、クライアント企業の課題を解決する達成感や、キャリアの成長を実感できる点が魅力です。


財務コンサルタントになるためにはどのような資格が必要ですか?


財務コンサルタントになるには、公認会計士(CPA)、税理士、中小企業診断士、証券アナリスト(CFA)などの資格が役立ちます。これらの資格は、財務分析やリスク管理、税務に関する専門知識を証明するものです。


財務コンサルタントの平均年収はどのくらいですか?


財務コンサルタントの平均年収は、400~2,160万円です。経験やスキル、勤務する企業の規模、役職によって変動します。


財務コンサルタントのキャリアパスはどのようなものがありますか?


初期キャリアとして、財務アナリストやジュニアコンサルタントからスタートします。続いて、中期キャリアとして、シニアコンサルタントやプロジェクトマネージャー、最終的にはパートナーやディレクターを目指すことが一般的です。


将来的に、他のコンサルティングファームや金融機関への転職、独立も可能です。


財務コンサルタントに向いている人の特徴は何ですか?


財務コンサルタントには、分析力が高く、コミュニケーション能力に優れ、問題解決能力がある人が向いています。また、財務情報という秘匿性の高い情報を扱うため、高い倫理観とリーダーシップも重要です。


財務コンサルタントの仕事はどのような業務内容ですか?


財務コンサルタントの主な業務内容は、財務分析、資金調達支援、M&Aサポート、事業再生、投資戦略の立案などです。企業の財務健全性を高め、持続可能な成長を支援します。





まとめ



財務コンサルタントは、クライアント企業の財務に関する課題を解決する専門家です。企業の財務体質を改善することで、持続可能な成長を支援するのが目的です。


主な業務内容には、財務戦略の立案や財務プロセスの改善、財務分析と報告、法規制対応があげられます。これらの業務を行うためにはコンサルティングファームや中小規模のコンサルティング会社で経験を積むと良いでしょう。


将来的には、フリーの財務コンサルタントとしての独立も可能です。ただし、独立当初には案件獲得が難しいこともあるでしょう。エージェントサービスのPODでは、フリーコンサルタントに向けた案件をご紹介していますので、ぜひご活用ください。