マーケティングコンサルタントとは?仕事内容、年収、必要なスキルやキャリアパスを解説
更新日:12月24日
マーケティングコンサルタントは、マーケティング戦略を支援し、ビジネスの成長を促す重要な役割で、独立して活躍する人も少なくありません。本記事では、マーケティングコンサルタントの仕事内容や年収、必要となるスキルや資格、キャリアパスを解説します。
マーケティングコンサルタントは、企業や組織のマーケティング戦略を支援し、ビジネスの成長を促進する重要な役割を担っています。専門知識が求められる業界では、コンサルタントとして独立して活躍している人が少なくありません。本記事では、マーケティングコンサルタントの具体的な仕事内容や年収、必要なスキルや資格、キャリアパスなどを詳しく解説します。マーケティングのスキルを活かし、コンサルタントとして独立を目指したい方はぜひ参考にしてください。
マーケティングコンサルタントとは
マーケティングコンサルタントとは、企業や組織のマーケティング戦略を支援し、ビジネスの成長を促進する専門家です。クライアントのビジネス目標に沿って売上向上などを目指し、マーケティング分野の改善提案を行う業務です。具体的には、幅広い知識と経験を活かして市場調査、競合分析、ブランディング戦略の立案、広告キャンペーンの企画・実行、デジタルマーケティングの最適化などを行います。実際のマーケティング活動を行う場合もありますが、企業や組織に対して戦略的なアドバイスや支援などを行うことが業務の中心です。
マーケティングコンサルタントに求められる役割
マーケティングコンサルタントが担当する役割は、豊富な経験や実績に基づいたノウハウや適切な情報を提供することです。
対象となるサービス・商品の売上向上
マーケティングコンサルタントは、売上向上を目指すためにさまざまな施策を提案します。まずは市場調査やデータ分析を行い、ターゲットユーザーを特定する情報をまとめます。その結果、消費者のニーズや市場動向が把握でき、競合他社との差別化が可能になります。また、商品の強みを活かしたマーケティング戦略を策定し、効果的なブランドの位置づけやターゲット選定を提案します。
プロモーション施策も重要な要素です。SNSやメールマーケティング、広告、イベントなどの施策を提案し、ターゲット顧客に効果的にリーチする戦略を策定します。さらに、商品の価格戦略を見直し、競合や市場需要を踏まえて最適な価格設定を行うことで、収益性の向上を図ります。
施策の成果については、データ分析を行い、必要に応じて戦略の調整を提案します。こうして、効果を最大限に引き出す体制を常に維持します。また、顧客のフィードバックを活かして商品やサービスを改良し、顧客満足度を高めることも売上向上に大きく寄与します。
マーケティング課題の解決に向けた支援
マーケティングコンサルタントの業務では、マーケティングリサーチ・広告宣伝に対する支援やその効果検証などが多い傾向にあります。
マーケティング課題の解決に向けた支援では、まず市場調査やクライアント分析を通じて、企業が直面する課題を明確にします。その後、課題に対する具体的な解決策を提案し、実行支援を行います。例えば、ターゲット市場の再定義や効果的なプロモーション施策の提案、デジタルマーケティングの強化など、状況に応じたアクションプランを策定します。
似た職種との違い
マーケティングコンサルタントと似た職種には、広告代理店のアカウントマネージャーやマーケティングリサーチャーがあります。
広告代理店のアカウントマネージャー
広告代理店のアカウントマネージャーは、主に広告キャンペーンの管理に特化して、クライアントの広告出稿をサポートする職種です。広告の制作やメディア選定、広告予算の管理を行うことで、クライアントが求めるターゲット層にリーチできるように最適な広告戦略を提供します。
具体的には、広告制作やメディアへの広告出稿に関するアドバイスを提供し、キャンペーンの効果を評価します。マーケティングコンサルタントも広告を取り扱うことがありますが、広告を含む幅広いマーケティング領域での課題解決を提供する点で異なります。
マーケティングリサーチャー
マーケティングリサーチャーは、主に市場調査が専門で、市場調査に焦点を当てて消費者の動向や市場トレンドの分析を中心に担当する職種です。アンケート調査やインタビュー、統計データの分析を通じて、消費者のニーズや競合状況を把握し、企業にターゲットインサイトを提供します。その情報は新製品の開発やターゲット戦略の構築に活用され、企業のマーケティング戦略の基盤となります。
マーケティングコンサルタントは、マーケティングリサーチャーが調査した要素を総合的に取り扱い、広範な視点から企業のマーケティング戦略全体の具体的な施策を検討、提案します。
業務別の仕事内容
マーケティングコンサルタントの仕事内容は、以下のように企業のマーケティング戦略を包括的にサポートする業務が含まれます。
- 市場調査
- ブランド戦略
- デジタルマーケティング
- 広告キャンペーン
- データ分析
市場調査
ターゲット市場や消費者動向、競合他社の分析を通じて、クライアントのビジネス環境を把握します。この情報をもとに、クライアントの強みや弱点を明確にし、強みを活かして弱みの補強を図るビジネス戦略を立案します。こうした取り組みが、ターゲット市場で競争優位性を築くための戦略的な意思決定を後押しします。
また、消費者のニーズを深く理解することで、製品やサービスが市場に受け入れられやすくなるような施策を提案できます。これらの取り組みにより、企業が持つ独自の価値を効果的に伝え、消費者との信頼関係を築くことを目指します。
ブランド戦略
ブランド認知度を向上させるための戦略を策定し、ブランディング活動を支援します。例えば、一貫性を重視した戦略によりロゴデザインやメッセージを構築して企業のブランドイメージを消費者に浸透させる施策を展開します。
また、ブランドの印象を強化するためにターゲットユーザーに好まれるメディアを選定して、クリエイティブなアプローチを実施します。その結果、企業の独自の価値が効果的に伝わり、消費者との信頼関係を構築してブランドの認知度と好感度を持続的に高めることができます。
デジタルマーケティング
SEOやSEM、SNSマーケティングを活用して、企業のインターネット上における存在感や影響力の強化を図ります。
- SEO(検索エンジン最適化):Webサイトや特定の記事が検索エンジンの上位に表示されるようにWebサイトを最適化するための施策
- SEM(検索エンジンマーケティング):検索エンジンに表示される広告を用いてWebサイトへの流入を増やすための施策
- SNSマーケティング:ソーシャルメディア上での情報発信や広告を通じて、ブランド認知や集客を促進するための施策
Webサイトのトラフィック増加やコンバージョン率向上を支援し、企業がデジタルチャネルを最大限に活用できる戦略を策定します。
広告キャンペーン
マーケティングコンサルタントは、広告キャンペーンの企画・実行にも関わります。ターゲットオーディエンスに適したメッセージを選定し、広告媒体の選定や効果的な予算管理を行い、最大限の広告効果を引き出します。具体的には、広告のクリエイティブ開発、メディアプランニング、そしてキャンペーンの効果測定などがあり、効果的な広告戦略を策定して、最大限のROI(投資利益率)の実現を目指します。
データ分析
市場調査やブランド戦略、デジタルマーケティング、広告キャンペーンなど、マーケティング施策を行った結果や売上データ、顧客行動データを分析し、各々のパフォーマンスを測定してどの戦略が効果的であるかを判断します。また、分析結果に基づいて次のマーケティング施策に反映させる改善策を提案します。さらに将来的なトレンドや消費者行動の予測を行って、効果的な施策を計画することで、継続的なマーケティング戦略の強化を図ります。
マーケティングコンサルタントの年収
マーケティングコンサルタントの年収は、経験や勤務する企業の規模によって異なります。例えば正社員とフリーランスの年収レンジは以下のとおりです。
- 正社員:400〜1,000万円程度
- フリーランス:500~900万円程度
国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査によると、正社員で働く人たちの平均給与は523万円です。そのためマーケティングコンサルタントとして独立すると、正社員の平均よりも比較的高い年収が期待できると言えます。
また、業務委託として仕事を引き受けている場合、5千~2万円程度の時給で活動することも可能です。
- マーケティング戦略の立案・現状分析:5~20万円
- Web集客:10~50万円
- LP制作:20~60万円
- 公式サイト制作:50~200万円
- コンテンツ制作:10~50万円
- アクセス解析やサイト改善提案:10~30万円
一般的に、エントリーレベルでは年収300万円から500万円、中堅レベルでは500万円から800万円、シニアレベルでは800万円以上となることが多いです。大手コンサルティングファームや外資系企業ではさらに高収入が期待できる場合があります。
マーケティングの年収の詳細についてはこちらにて解説
必要な資格・スキルや経験
マーケティングコンサルタントに必要な資格やスキルを紹介します。
資格
マーケティングコンサルタントは必ずしも資格が必要な職種ではありませんが、対外的なスキルの明確化を行ったり、総合的にマーケティングの知識を学習したりするためには、資格を取得する方法が便利です。マーケティング関連の資格にはさまざまな種類があるため、得意分野に特化した資格取得を目指すのがおすすめです。
データ分析やデジタルマーケティングに精通していることが示せる資格には以下のような種類があります。
- マーケティング検定
- ネットマーケティング検定
- Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)
- Webアナリスト検定
- SEO検定
- IMA検定 など
また、複雑なマーケティングプロジェクトの管理に役立つ資格として以下が挙げられます。
- PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
- 中小企業診断士
スキル
マーケティングコンサルタントには、データ分析能力、コミュニケーションスキル、プロジェクト管理能力などが必要です。また、コンサルタントとして携わる企業が取り扱っている製品やサービスに関する専門性もあると便利です。
- 論理的思考力(ロジカルシンキング)
- データ分析能力
- 優れたコミュニケーションスキル
- 忍耐力
- プロジェクト管理能力
- 最新のデジタルスキル
経験
マーケティングコンサルタントとして成功するためには、第一にマーケティング業務の実務経験が欠かせません。特にデジタルマーケティングやブランディングの経験が重視されます。幅広い視点と対応力を培うには以下の経験があると役立ちます。
- ターゲット市場の理解
- 効果的なキャンペーンの展開
- 顧客ニーズに応じた戦略の最適化
- 異なる業界での経験
マーケティングコンサルタントに求められること
商品やサービスの売上・価値向上
マーケティングコンサルタントは、商品やサービスの売上・価値の向上を目的に、ターゲット市場の分析、競合他社の動向把握、そして効果的なマーケティング戦略を策定・実行します。こうして、クライアントのビジネス成長を促し、市場シェアの拡大に貢献します。
顧客満足度の向上
顧客満足度を向上させるため、マーケティングコンサルタントは、顧客の声を分析し、製品やサービスの改善提案を行います。また、顧客体験の向上を目的とした施策を立案し、クライアントと協力してその実行をサポートします。顧客満足度の向上は、リピート率やブランドロイヤルティの向上に直結します。
マーケティングに関わる課題の解決
マーケティングコンサルタントは、クライアントが直面するマーケティングに関する課題を分析し、解決策を提案します。課題には、競争力の低下や市場シェアの減少、ブランド認知度の不足などが含まれます。データに基づいたアプローチで、問題を解決し、持続的な成長を実現します。
外部の専門家としての客観的な意見
マーケティングコンサルタントは、外部の専門家としてクライアントに客観的なアドバイスを提供します。社内では気付きにくい視点や業界のベストプラクティスを取り入れ、クライアントの意思決定を支援します。また、業界動向や競合分析に基づいた中立的な提案が、より効果的なマーケティング戦略の構築に貢献します。
クライアントに不足するリソースの補完
クライアントが持つリソースの不足を補完する役割も果たします。特に、社内にマーケティング専門家がいない場合や、プロジェクトに必要な時間やスキルが不足している場合、コンサルタントがそのギャップを埋め、プロジェクトを成功に導きます。これにより、クライアントは自社の強みに集中しながら、マーケティング活動を推進できます。
マーケティングコンサルタントのキャリアを積む方法
マーケティングコンサルタントになるためには、まずマーケティング関連の職務経験を積むことが重要です。広告代理店やマーケティング部門での経験が役立ちます。また、専門のコンサルティングファームに応募するか、フリーランスとして活動することも選択肢です。
マーケティングコンサルタントとしてキャリアを積むためには、まずマーケティングやビジネスについての基本的な知識を学んでおくことが大切です。基礎知識に加えて、広告代理店や企業のマーケティング部門での実務経験を積むことで、コンサルティングで必要なことを実践的に学ぶことができます。
さらに、コンサルティングファームやフリーランスの経験を積みながらネットワークを培い、ビジネス基盤を広げていくことでマーケティングコンサルタントとしてのキャリアが広がっていきます。
特にデジタルマーケティングやデータ分析のスキルは、現代のマーケティングコンサルタントにとって不可欠です。また、常に資格の勉強をしたり継続的なスキルアップを図ったりすることも求められます。
素質、向いている人
マーケティングコンサルタントに向いている人の特徴は以下のとおりです。
向いている人
- 分析力が高い
- 創造的な戦略が立案できる
- チームやクライアントとのコミュニケーションスキルが高い
- 素早くクライアントとの関係構築ができる
- 最新の情報収集に努め研鑽を怠らない
向いていない人
- 革新や変化を好まない
- 状況に合わせた柔軟な対応が苦手
- データ分析や数値に苦手意識がある
マーケティングコンサルタントのキャリアパス、将来性
マーケティングコンサルタントはさまざまな業態に入り込み専門スキルも都度培われていくため、メーカーやコンサルティングファーム、独立を行き来するなど多様なキャリアパスの可能性があります。デジタルマーケティングの進展により、マーケティングコンサルタントの需要は増加傾向にあり、データ分析やデジタルマーケティングのスキルが特に重視されます。
以下はマーケティングコンサルタントにおけるキャリアパスの一例です。
- 外資系戦略コンサルタント → 外資系メーカーのアシスタントマネージャー
- 外資系消費財メーカーのプロダクトマネージャー → 日系消費財メーカーの戦略企画マネージャー
- 日系消費財メーカーの(海外)ブランドマネージャー → 外資系メーカーのプロダクトマネージャー
- リサーチャー→シニアコンサルタント→チームリーダー→マーケティングディレクター
よくある質問
マーケティングコンサルタントを目指す人からよくある質問を見ていきましょう。
マーケティングコンサルタントになるにはどうすればいいですか?
マーケティングの実務経験を積み、デジタルマーケティングやデータ分析などの専門スキルを習得することが大切です。さらにコミュニケーション能力やプロジェクト管理スキルも必要です。まずは企業で経験を積み、その後独立やコンサルティングファームでのキャリア形成を目指すのが一般的です。
マーケティングコンサルタントの将来性はどうですか?
デジタル化の進展と市場競争の激化により、マーケティングコンサルタントの需要は増えています。特にデジタルマーケティングに強いコンサルタントは今後も高い需要が見込まれます。中小企業からの需要も増えているため、将来性は非常に高いです。
独立してマーケティングコンサルタントになるには?
専門分野を明確にし、ネットワークを構築することが重要です。実務経験を活かし、強みを活かせる市場に焦点を当てましょう。なお、独立後には、営業や会計などビジネス運営の基本知識も必要です。
マーケティングコンサルタントは激務ですか?
プロジェクトや技術動向に合わせて専門家として学び続ける必要がある職種であり、資料作成や打ち合わせなどにも多くの時間を要する傾向があります。そのような状況から激務だと思われがちですが、自分のスケジュールに合わせて日程調整できる場合もあるため、常に激務だとは限りません。
マーケティングコンサルタントのやりがいは何ですか?
マーケティングコンサルタントのやりがいは、クライアントの成功に貢献しながら、多様な業界での経験を積める点です。多様な業界での経験を積んで新しいことに挑戦しながら自己成長と専門性を高めることができる点にあります。
まとめ
マーケティングコンサルタントとは、専門的な知識や経験を活かして、売上向上やビジネス上の課題解決を支援する職種です。従来のマスマーケティングからインターネットやSNS、検索エンジンを活用したデジタルマーケティングが進む中で、マーケティングコンサルタントの需要はさらに高まっており、将来性が期待できる職種です。マーケティングやプロジェクト管理のスキル、資格を活かして、コンサルタントとして独立を目指してみてはいかがでしょうか?