人材コンサルタントとは?仕事内容や年収相場、必要なスキル、キャリアパスを解説

更新日:2月25日

人材コンサルタント

人材コンサルタントは、人材についてのコンサルティングを提供する専門家です。主に、求職者に対してキャリアの相談や自社に最適な人材を探している企業への採用支援、人材育成、マネジメントに関するコンサルティング施策の提案やアドバイスを行います。


本記事では、人材コンサルタントの概要や仕事内容、年収相場を解説します。人材コンサルタントの業務を行う上で求められるスキルや資格、なる方法の他に、向いている人の特徴や将来的なキャリアパスもご紹介しますので、人材コンサルタントへの転職をお考えの方は参考にしてください。








人材コンサルタントとは?





人材コンサルタントとは、企業や組織における人材採用や育成、マネジメントに関するコンサルティングを提供する専門家です。


人材コンサルタントが実施する具体的なコンサルティングの対象には、採用支援、人材トレーニングと開発、従業員のパフォーマンス管理と評価制度の構築、組織開発、労務管理、およびこれらを実施するための調査が含まれます。


企業が、風土や求める人材にマッチする優れた人材を確保し、パフォーマンスを最大化できる環境を整えるのが、人材コンサルタントです。





人材コンサルタントの仕事内容





人材コンサルタントの具体的な仕事内容は、以下の5つです。


人材コンサルタントの具体的な仕事内容


  • 採用プロセス支援
  • 人材育成や能力開発のための研修、トレーニングなどの企画と実施
  • 評価制度の構築による従業員のパフォーマンス管理
  • 労務管理の実施
  • 組織開発・企業風土や文化の変革
  • 求職者のキャリア相談への対応
  • 採用選考のサポート
  • 退職支援

人材コンサルタントは、企業が求める条件にマッチする人材を獲得するために、採用の計画や戦略の立案を支援します。また、従業員のスキルアップやキャリア開発などを支援する研修やトレーニング、プログラムなどを企画し、実施をサポートします。


社員の業績や業務におけるパフォーマンスを適切に評価するための制度やプロセスの構築、導入支援の他、詳細な評価基準の設定、フィードバック制度を構築するのも人材コンサルタントの仕事です。


また、従業員が安全に働けるように労働法を順守した労務管理や労働環境の改善、企業風土・文化の変革や組織開発など、組織コンサルタントや人事コンサルタントが行う業務も一部担当します。


さらに、求職者からの相談に対して、キャリアアドバイザーとしての立場から、採用選考から退職支援までさまざまな相談業務に応じることもあります。





人材コンサルタントの年収相場





人材コンサルタントとして活動する場合、どの程度の年収を得られるのでしょうか。ここでは、一般的な相場と、給与所得者全体における平均給与との比較結果をご紹介します。


人材コンサルタントの一般的な年収相場


Indeed(インディード)によると、人材コンサルタントの一般的な年収相場は、416万円程度です。月給換算では、29万円前後が相場です。東京都や大阪府など都市部では需要が高いため、月給が40万円を超えるなど比較的高収入を得られる傾向があります。


給与所得者全体との年収比較


令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、すべての給与所得者における平均給与は458万円とされています。一見すると、人材コンサルタントの年収・給与は一般的な相場に比べて低いように感じるかもしれません。


しかし、成果や経験によるインセンティブ制度や賞与などを設けている企業も多くあります。また、先述した年収相場は、求人に掲載されている情報をもとに算出されています。人材コンサルタントとしての経験や実績を積めば、年収増加が期待できるでしょう。





人材コンサルタントに求められるスキルや資格





ここからは、人材コンサルタントに求められるスキルや資格について解説します。


人材コンサルタントに求められるスキル


人材コンサルタントに求められるスキルは、以下の5つです。


人材コンサルタントに限らず、すべてのコンサルタントに必須なのがコミュニケーション能力です。なぜなら、クライアントとなる企業や求職者と効果的に連携するには、口頭や書面を通じて正しく情報を伝える必要があるからです。自分の考えを適切に伝えて相手に理解してもらうには、コミュニケ-ションの力を磨くことが求められます。


また、クライアントの声や抱える真なる課題を引き出すには、傾聴力も求められます。クライアントの話を掘り下げて聞いたり、引き出すためのサポートを提供すれば、現状理解や目標設定を容易に行えるでしょう。


人材コンサルタントとして業務を行うには、クライアントが提出する情報や課題に関連するデータなどを収集しなければなりません。特に、人事の動向や求人動向などを積極的かつ効率的に収集するスキルが求められます。


また、得られたデータを分析し、クライアント企業の課題を整理したり、求職者のキャリアの可能性を探ったりする力や状況を客観的に推し量る洞察力も有用です。


人材コンサルタントには人脈構築力も必要です。なぜなら、コンサルティングのプロジェクトを通じて、求職者やクライアント企業との関係を維持しなければならないからです。


円滑なコミュニケーションにより良好な関係を構築できれば、人材育成プロセスや評価制度などの構築においても積極的な協力を得られて迅速に業務を進められます。


人材コンサルタントは、複数のプロジェクトを同時に進めたり、さまざまな企業担当者と携わったりする必要があるため、マネジメント力も必要です。


進捗管理などのタイムマネジメントや、企業情報、求職者情報などを安全に管理するマネジメント力も求められます。


検討した課題解決策をクライアント企業に提示し、求職者への相談に適切に応じるにはプレゼンテーション能力も求められます。


クライアントが施策内容や成果に納得できるよう、伝える情報を吟味し、説得力のあるプレゼンテーションを提供できるよう心がけましょう。


人材コンサルタントに求められる資格


人材コンサルタントとして活動するために必須の資格はありません。しかし、以下の資格を取得しておけば、業務に活用できます。コンサルティングファームや企業への就職・転職も有利に進められるでしょう。


キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを実施するスキルを証明できる国家資格です。職業選択や生活設計、能力開発などに対する求職者からの相談に対して、アドバイスや指導を行います。


キャリアコンサルタントは、人材育成や能力開発など教育に特化した内容で、企業からの人材育成研修や評価制度に関する依頼にも対応可能です。


なお、キャリアコンサルタント試験は学科と実技試験の2つの試験から構成され、両方に合格しなければなりません。実技試験では、試験官が求職者、受験者はキャリアコンサルタント役を演じ、ロールプレイングを実施します。


資格合格に必要な知識や論証だけでなく、カウンセリング実務の経験を積んでおくと対策できるでしょう。


社会保険労務士は、企業における人事労務管理、社会保険領域に関する専門家としてのスキルを証明できる国家資格です。


雇用法権法や労働基準法などに則り、労働者が働きやすい職場環境の構築支援やアドバイスを提供します。社会保険労務士を取得すれば、就業規則などの作成支援も行えます。


なお、社会保険労務士試験は、例年、選択式と択一式の2つの形式で実施されるのが特徴です。難易度に応じた合格基準点が両形式で設定され、それぞれで合格基準点以上の点数を取らなければなりません。


社会保険労務士への合格は、コンサルティングファームなどへの転職において、活用できます。


中小企業診断士は、中小企業が抱える経営課題に対して診断やアドバイスを提供する専門家であることを証明できる国家資格です。


中小企業診断士に合格することで、経営課題の把握と分析、中小企業における成長戦略を提案する能力を証明可能です。


なお、中小企業診断士として活動するには、1次試験、2次試験に合格し、実務講習や実務従事を15日以上経験する必要があります。


労働安全コンサルタントは、労働者の安全衛生の水準向上を目的とした事業環境の診断や指導を行える国家資格です。労働者が安心して働ける環境や評価制度を構築する際に寄与します。


なお、労働安全コンサルタント試験は、産業安全一般と産業安全関係法令が必須の回答内容であり、機械安全、電気安全、化学安全、土木安全、建築安全の5つの内容から1科目を選択します。





人材コンサルタントになる方法





人材コンサルタントになるには、主に以下の3つの方法があります。


未経験から人材コンサルタントにチャレンジする方法


人材コンサルタントは、求職者や企業が持つ課題を把握し、適切な助言を行わなければなりません。そのため、未経験から人材コンサルタントを目指す場合は、先述したスキルや資格を習得すると良いでしょう。


具体的には、クライアントや求職者と話すためのコミュニケーション能力、課題解決に必要な情報を集めて整理するための情報収集力、分析力が役立ちます。


なお、これらのスキルは、必ずしも正社員として就業しなくても身につけることが可能です。アルバイトや興味のあるコミュニティに所属するなどすればスキルアップを目指すでしょう。


経験を活かして転職する方法


既に資格を取得していたり、異なる分野のコンサルタントとしての勤務していたりする場合は、中途採用枠を利用して人材コンサルタントを目指せます。例えば、異なる分野のコンサルティングファームで勤務した経験があれば、提案力や傾聴力、情報収集力を評価できるからです。


また、企業の人事部門に所属し、採用担当業務を行っている経験があれば、即戦力として働けるため、転職活動を有利に進められるでしょう。





人材コンサルタントに向いている人





人材コンサルタントに向いているのはどのような特徴を持つ人でしょうか。ここでは、人材コンサルタントへの適性があると判断できる人の特徴を6つ解説します。


コミュニケーションスキルが高い


先述の通り、人材コンサルタントとして活動するには、企業や求職者など多くの人と連携する必要があります。そのため、積極的にコミュニケーションを取って関係を構築し、そのやりとりを楽しめる人に向いています。


問題解決力や洞察力がある


問題解決力や洞察力があることも、人材コンサルタントとして活躍できる人の特長です。


クライアントや求職者の課題やニーズを正確にとらえて解決するには、情報を適切に収集し、必要な情報を整理して解決施策を立案する必要があるからです。また、業界動向などの分析には優れた洞察力も求められます。


人の成功を支援することにやりがいを感じる


人の成功を支援したり、成果が得られたことにやりがいを感じ、喜べる人も人材コンサルタントに向いています。なぜなら、人材コンサルティング業の本質は、企業や求職者が抱える課題を解決することで、成果を得ることにあるからです。


長期視点で物事に取り組める


長期視点で計画し、物事に取り組める人も人材コンサルタントに向いている人の特徴です。なぜなら、施策を実施すればすぐに成果が得られるわけではなく、成果が表れるには時間がかかるからです。


例えば、採用制度の改善プロジェクトを進める場合、現状把握から施策の検討、効果検証と改善施策の実施まで1年、もしくはそれ以上の期間がかかります。焦らず冷静に状況を判断し、物事に取り組める人に向いている職種といえます。


営業・人事経験がある


営業経験や人事経験がある人も人材コンサルタントに向いています。なぜなら、営業経験を通じて、相手のニーズをヒアリングしたり交渉したりするスキルを習得できるからです。


また、人事コンサルタントとして具体的な制度やプロジェクトを実施する場合は、人事部門で身に着けた人事戦略や能力開発、人材育成力を活かせます。


論理的思考力がある


論理的思考力がある人も、人材コンサルタントに向いています。クライアントが抱えている課題を解決するには、まずは原因を特定し、解決策を検討しなければなりません。


論理的思考力があれば、さまざまな情報から原因特定に必要な情報を取捨選択し、効率的に解決策を検討できます。





人材コンサルタントのキャリアパス





人材コンサルタントのキャリアパスには、社内でのキャリアアップ、コンサルティングファームや人事部門の管理担当への転職、独立・起業があります。


社内でのキャリアアップ


もっとも現実的で成功しやすいのが、社内におけるキャリアアップです。実績などが評価されマネージャーに昇進する場合が該当します。人材が少ない場合や優秀な実績を残せた場合は、早期での昇進も可能です。


コンサルティングファームや異なる企業の人事部門への転職


これまでに事業会社で経験を積んで来た人であれば、コンサルティングファームや別の企業の人事部門の転職も視野に入れると良いです。


コンサルティングファームでは大手企業の案件を扱うケースが多く、年収アップも図れます。また、現在とは異なる企業の人事部門におけるマネジメント担当への転職も選択肢に挙げられます。


独立・起業


業務経験を多く積んだり、スキルや経験に応じた年収アップを目指すのであれば、独立や起業も可能です。人材コンサルティング業務は、他のコンサルティング業務と異なり、一人で完結させることができます。そのため、独立しやすい職種であるといえます。


なお、独立や起業してすぐは、客観的な評価や信頼性に乏しいために、案件獲得が難しい可能性があります。その場合は、フリーコンサルタントに特化したエージェントサービスを活用すると良いでしょう。「POD」では、経験やスキル、希望の収入目安などに応じた案件をご紹介可能です。人材コンサルティングに関する案件も多数ございますので、フリーの人材コンサルタントとして活動中の方は、ぜひご利用ください。





人材コンサルタントに関するよくある質問





ここからは、人材コンサルタントに関するよくある質問と回答をご紹介します。


人材コンサルタントと人事コンサルティングとの違いは?


人材コンサルタントは、求職者のキャリアに関する相談や企業内の人材育成制度の構築などが主な業務です。人事コンサルタントの主な業務は、クライアント企業の抱える経営課題や人事課題などを把握し、最適な解決法を導く点で人材コンサルタントとは違います。


人材コンサルタントになるために活かせる資格は?


人材コンサルタントになるには、人事や人材育成に関する経験があると有利です。未経験から人材コンサルタントを目指す方は、キャリアコンサルタントや社会保険労務士、中小企業診断士、労働安全コンサルタントなどの資格を取得しておくと就職や転職でアピールしやすくなります。


人材コンサルタントに求められるスキルは?


人材コンサルタントは、クライアント企業や求職者などと積極的に連携して課題解決に努めなければなりません。コミュニケーションスキルや問題解決力、洞察力などがあると業務を進めやすくなります。





まとめ



人材コンサルタントは、自社に最適な人材を探している企業へのコンサルティングや、求職者のキャリア相談に応じる専門家です。具体的には、採用や人材育成、マネジメントなどの施策を行い、課題解決を図ります。


主な仕事内容は、採用プロセス支援、人材育成や能力開発に関する研修の企画と実施、労務管理など多岐にわたります。また、求職者のキャリア相談への対応や採用選考のサポート、転職支援も行います。


人材コンサルタントを目指す方は、コミュニケーション能力や情報収集力、分析力などを磨くと良いでしょう。また、プロジェクトや求職者、従業員などのマネジメント力も役立ちます。


将来的に独立を検討している方は、コンサルティングファームや中小規模のコンサルティング会社で経験を積んだり、事業会社の人事部門に所属したりして経験を積むと良いでしょう。


ただし、独立当初は案件獲得が難しい可能性があります。エージェントサービスの「POD」では、フリーの人材コンサルタントに向けた案件をご紹介できますので、ぜひご利用ください。

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